58・玉。
正体不明だという魔物についての情報を集めにギルドの支部に行った。
勿論王都のギルマスから連絡が入っている。
討伐依頼を受けた連中の言うことには妙な色合いの玉だったそうだ。
「最初に行った連中の話だと大人一人で抱えられるくらいの大きさだったんだが
オレ達が行ったときはもっと大きかった。
大人三人が手をつないで囲めるくらいだったと思う。
アレは成長してるのかもしれない。
攻撃もしてみたんだが……はねかえされてな。
魔法も剣も槍も弓矢もみんなはね返されたんだ。
結局オレ達は自分達の攻撃で負傷しちまったんだよ。
だが向こうからは攻撃してこなかったから撤退は簡単だったんだが」
妙な色合いってどんな感じなんだ?
「う~ん、緑だと思うんだが青にも見えたりするんだよ。
光の当たり具合なのか地色が変化するのか分からなかったんだ」
討伐依頼が出たってことは被害が大きかったのか?
「被害自体はそれほどでもないんだが家畜は当然のこと魔物の類いまでソイツに
おびえてる始末なんだ。
馬車が暴走したなんてのまで出てきてな。
領主さまの所の兵達も出てくれたんだが歯が立たなかった。
オレ達と同じように全部はね返されたそうだ」
タダの玉が魔物まで怯えさせるなんて一体全体なんなんだろうな?
脳筋勇者はそういうのは聞いたこと有るのかね?
「そんなのには聞き覚えが無いなぁ。
魔物までおびえさせるんなら強そうだよな。
だがはね返すだけしかしないってのは面白いな。
被害がほとんど無いってのになんでココに居座ってるのかね?
まあ、魔物の考えてることなんて理解不能なんだがな。」
ココの領地には土地勘は無いのでコノ冒険者に道案内を頼むことにした。
そういうコトは地元の連中の方が詳しいからな。
聞き込みで居場所を推定して向かってみることにした。
そうしてソイツはソコに居た。
フワフワと重量を感じさせない態で浮かんでいる。
表面の色合いが青から緑、緑から青と微妙に変化しながらゆっくり回転していた。
大きさがギルドで聞いたのとは違ってた。
もっと大きかった。もう大人十人くらいでないと囲めないかも。
コレって依頼を受けたヤツラが言ってたように成長してるのかもな。
小石を投げつけてみた。
正確にはね返してきた。
オマケになんか威力が上がってやがる。
なるほど倍返しなのかもな。
勇者達も魔法やら斬撃やら放ってはみるものの全部倍返しではね返された。
ダメだこりゃ! と思ったらずっと動かなかった玉が動いた。
ケンジは側に居たハゲのギルをアリィごと突き飛ばした。
オレに向かって!
ギルだけなら避けたと思う。
だが背中にアリィが居るから一瞬ためらってしまった。
結局オレはギルたちのクッションにされた。
ケンジめ! オレはクッションでもコイツラの保護者でもねーゾ!!
オイ! ギル!! さっさとドケよ!
男に押し倒されてるなんて趣味じゃねーんだ!
起き上がったらケンジとアリィの姿が見えなくなっていた。
一体ドコに行っちまったんだよーっ!?




