52・コアの代金。
ツルッパゲ野郎はホントにツルッパゲだった。
髪の毛はモチロンのこと眉毛もマツゲも脇毛もすね毛も大事な所の毛まで
一本残らず無くなっていた。
なのでギルドの連中でも誰なのか判定できなかったんだ。
本人が目覚めて名乗るまで……ね。
ココのギルドでは結構有名な方のパーティでもうじきB級からA級に上がろうか
というくらいのレベルだったそうだ。
なので大騒ぎになっちまった。
そんなレベルでもタカがスライムなんぞにやられることがあるのか!? と。
でも、代わりに討伐したのがSSS級だと聞いて詳細をみんな知りたがったね。
どうやら酒のつまみの話には昇格したらしい。
報告書は面倒くさがりの勇者の代わりにオレ達が作成した。
魔王討伐の時のパーティでもこういうのは他のメンバーの仕事だったらしい。
ギルマスは呆れていた。
弱点が「塩」だなんてのは初耳だったらしい。
まあ、普通はそんなに大量の塩なんか持ってるわけねぇもんな。
「ああいうデカいスライム退治ってなかなかやってくれる奴が居なくてね。
助かったよ。
調査ですらなかなか引き受けてもらえなかったんだ。
まあ、犠牲になった連中の遺族には弔慰金を多めに出したよ。
あぁいうのは端から削っていったり火魔法であぶったりあとはそうだな、風魔法で
細切れにしたりするのが普通なんだが。
まさか塩が弱点だなんてなぁ。
しかしコレであぁいうのが現れても討伐が楽になる。
SSS級でなくても討伐できるってのは有り難いよ。
コイツ(勇者)の仕事を減らすようで悪いがね」
「デカ物でもスライムじゃあ自慢にゃならねぇさ。
もうちょっと歯ごたえのある依頼はねぇのか?
王都の周りじゃあそんなのは無理かねぇ?」
確かに王都の周りじゃあそういう話は少ないな。
人の出入りが多いから護衛も一緒に付いて回ってるし騎士団や兵団も常駐してる。
SSS級の冒険者が受けるような依頼なんてそう簡単に転がってるハズも無い。
なるほど、だからアノ田舎の闘技場の街に居たのか。
闘技場に飽きたらアノ山の中にあるというダンジョン辺りで遊べるし……
「まあ、ココにはたまに来てるんだよ。
各地からの情報が集まってくるところだからな。
国外の情報が来てることもあるんだ。
面白そうなのは引き受けたりしてるのさ」
はぁ、どうみても暇つぶしを探しに来てたとしか思えねぇな。
強すぎる上にまともに相手になれる奴がいないってのはもう退屈そのもの
だったんだろう。
ケンジに付きまといたがる気持ちがなんだか分かった気がした。
スライムの報酬は勇者が半分、オレ達二人で残りの半分を分けた。
コアはソレナリの値段で引き取ってもらえたけどケンジはツルッパゲ野郎に
分けたいと言う。
「装備も仲間も全て失ってしまいましたからせめて仲間のお葬式代くらいは
あってもいいと思うんです。
彼等の犠牲があったからあのデカスライムも見つかった訳でしょうし」
勇者は金には拘らないヤツだったのでスンナリツルッパゲ野郎にコアの代金を
渡してやることができた。
元がスライムのモノとはいえあれだけデカいヤツのコアが30個だったから
装備と葬式代くらいはなんとかなったようだった。
ツルッパゲ野郎は次の日の夕方にオレの実家の宿を訪ねてきた。
そうして助けたことの礼とコアの礼を言った後で……土下座したんだ。
そんなことしてほしかったんじゃあないんだけどなぁ。




