47・爆弾。
勇者にケンジ、アリィにロゼ(桶娘)とゾロゾロ引き連れて神殿に行く。
神託を頂く予定は一月後だけどアリィのことを首輪の魔術師に
相談してみようと思ったからだ。
神官達は忙しくてもヤツは奴隷だから儀式なんかには関係ないだろうからな。
勇者とケンジの二人で何とかしようとやってはみたんだが……ダメだった。
馬車で半日の距離を離れていても影響してるんだもんな。
ちょっとやそっとの距離があっても無駄だろうと思う。
誰にもコントロール出来ないなんて呪いみたいなもんだよな。
結局、魔術師にもリンクを切ることはできなかった。
「遮断したときはアレで完璧だと思ってたんだけどなぁ。
リンクしてたとしてもほんの少しでこんなに影響が大きいなんて
思いもしなかったよ。
オレ達なんかより神官のほうがこういうのは専門だと思うんだが?」
ということで忙しいだろうとは思ったけど勇者の仲間だった神官に
診てもらうことにした。
でも、難しい顔をしたまま考え込んでいる。
「親子とか兄弟とかでこういうリンクが発生したことがあるのは知ってます。
片方が死にそうとかいう事態の時が多いですね。
なんとか助けたいという気持ちが相手と自分を繋げてしまうんです。
助けられることもありますし一緒に死んでしまうこともあるんです。
でも、二人は別に兄弟でも親族でもないですよね」
「助けてあげたいとは思いましたが最初に会った時のアリィはまだ胎児で
流産としか言えない状況だったんです。
とても助けられるとは思えませんでした。
どうしてリンクができたのか分かりません。
ほとんどは魔術師さんと最強さんが遮断してくれたんですがなんだか
少しだけ残ってしまったようで……
アリィがやってもオレや最強さん達がやってもこれ以上は無理だったんです。
なんとかしてあげたいとは思うんですが」
「前世の記憶が消えてしまうのは子供の体で大人の魂を支えきれないからと
いう説を唱える者もいます。
覚えていない方が体にも魂にも良いということなんだそうです。
たまに胎児の時の記憶を持ってる子がいたりします。
でも成長過程で忘れてしまうのが普通ですし多分忘れてしまうほうが
大人になるためにはイイコトなんでしょう。
彼はかなり覚えてるようですし人格は大人ですからねぇ。
多分、魂と体のバランスがとれていないんじゃないでしょうか。
急激に体が成長してるのはそのバランスを取るためかもしれません。
まあ、ケンジさんの魔力が枯渇まで行かないようですから暫くこのまま
様子を見るのはどうでしょう?」
『でもオレこんなに早く成長したいんじゃないんだ。
ノンビリまったりノンキに人生を送りたいんだよ。
最初からこんなのってノンビリとはとても言えないから……』
「あー、どうしてそう思われてるかは聞きませんが無理ですよ。
『勇者』がそんなのほほんとした人生なんて不可能です。
ソコの脳筋勇者を見れば分かると思うんですが?」
『勇者』って……コイツがか?!
「アリィ君だけじゃありませんよ。ケンジ君もですね」
神官はオレ達の上におっきな爆弾を落としてくれたのだった。




