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41・死人。

 『母親とはいえ彼女はオレのことは拒否してるからな。

死ぬはずだったけど兄ちゃんの魔力のオカゲでなんとか助かった。

せっかくだしコレも一興ということで暫く生きてみようと思う。

どっかの孤児院にでも放り込んでくれればイイよ』


「変則的な出生とはいえ王の子なんだぞ。

孤児院など以ての外だ!庶子でも我が子として王宮に居るが良い!」


『お断りさせていただきますよ。

母親が強姦魔としか認識してなかった方の側なんぞ居るだけでストレスだ。


それに死人の側には居たくないです。

いつからそんなふうに自分の体に取り憑いてるんですか? 陛下。

死んだら生きてる者には口出ししないでいただきたいのですが?』


王の顔色が変わった! 

ケンジは鑑定をしたようだ。

やっぱり青い顔で頷いた。


「いつから気が付いていたんだ? 誰も気付かないと思ってたんだがな」


『この体に宿ってからすぐですよ。

彼女に触れるということはオレに触れるのと同じなんです。

前世の力はほとんど無いけど記憶と感覚は多少とはいえ残ってるんです』


コイツ……一体どんな前世だったんだ? 


「二ヶ月……いや三ヶ月くらい前だな。

目覚めたら変な感じがしたんだ。死んでた。

ポックリってのかもしれない。

だがちょっとした先祖伝来の魔道具を身につけていてね。

お前の言うとおり今の私は自分の体に取り憑いてるんだよ」


なんだって素直に死んどかないんだよ! 

そんなに死にたくないことがあったのか? 


「ちょうどそのころ公爵が結婚したんだ。

私のリリア……失ったはずのリリアがそこに居たんだ。

公爵は二度もリリアを手に入れた。

許せるか? 許せるものか! 彼女は私のものだった。

魔道具の効力が切れる前にもう一度この手に取り戻したかったんだ」


『だから彼女はリリア様じゃあない! リリアーナだ! 

アンタのリリアはもうとっくに死んでるんだろ? 

諦めてあの世ででも探すんだな。

オレみたいに転生しちゃってるかもしれないが』


「転生した先があのリリアーナじゃあないと誰が言える? 

公爵もそう思ってリリアと呼んでリリアに仕立てようとしたんだと思う。

違うか? 公爵!」


「私は……彼女はリリアに似すぎていた……だから側に居て欲しかった。

それがリリアーナを踏みつけにすることだとは気付いてなかった。

そんな風に……恨まれ呪われてるなんて……」


『自分のことばかりなのは二人とも同じだ。

彼女もそうだとも言えるけどあの若さで大人な夫たちのことまでは無理だ。

恋する乙女が自分の恋人以外のコトなんか考えられる訳がない。


彼女のこと……リリアーナのことは誰も見てなかったんだ。

見てくれるのは冷たい目でみる元恋人だけとなったら彼女でなくても

死にたくなって当然だな』


王は自分が死人だと認めた。

魔道具の効力はもう切れてしまうそうだ。


「あと一週間くらいだろう。

公爵が来なければソレでも良かった。

リリアを独占できた。

だがやっぱりアレはリリアではなかったということだな。

私のリリア……死の向こうで待っててくれると良いんだが」


そう言うと王は踵を返して去って行った。

公爵は立ち尽くしている。


『公爵……アナタにお願いがあるのですが』


モゾモゾ野郎の願いは公爵にはキツイことだっただろう。

なにしろ「離婚要求」だったから。

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