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37・屋上。

勇者は苦虫を噛みつぶしたような顔をした。

魔術師はパーティの一員だったそうでしかも義兄だという。

奥方は魔法剣士でやっぱりパーティに居たんだそうだ。

あー……そういえばベタ惚れの美人の奥さんが居たよな。


なんで隷属の首輪なんか付いてんのかね? 

普通は腕輪とか足輪が片手片足に付くだけだ。

桶娘たちみたいに借金奴隷だと大抵そうだな。

首輪を付けられるヤツは犯罪者の場合が多い。

目立つからソレ自体が罰のうちなんだよ。


一体なにをしたのかね? 

勇者のパーティの一員ともあろう者が……


「禁術だって知ってたくせに異世界からの召喚ってヤツをしたんだ。

一人や二人だったら首輪まで行かなかったんだろうが三十人もやってな。

まあ、オレと女房のせいって面もあったがな。


術式のせいでもあったんだそうだが世界に穴を開けまくりだったそうだ。

神さまに叱られて首輪アレを付けられたんだ。

だが、神殿の預かりになってたハズなんだがな」


「あー……レンタルだよ。

神殿へ王から要請が来てね、護衛を任されている。

変なモノがお前と一緒に飛んできたんだ。

何事かと見に来ても当然だろ? 

まあ、王は心当たりがおありのようだがね」


「控えよ、魔術師。

私は公爵に話があるのだ。

わざわざこの離宮まで乗り込んできたからには相応の覚悟だろうからな。

リリアは解放しないぞ。

解放はお前にしてもらう。離婚して私に譲れ!」


王妃の他にも二人……いや三人だったか……側妃をお持ちだったはずだ。

それなのに他人の……いや弟の嫁さんにまで手を出して挙げ句は譲れ! とはね。

可も無く不可も無い方だと思ってたんだけどなぁ。


「離婚する気など毛頭ございません。リリアは私の妻です。

王の仰せでもこればかりは譲ることなどできません」


「お前がこの国に居ない間に私がリリアに何もしないで居たと思うのか? 

もう彼女はお前のモノではない。何しろ私の子供を妊娠したからな」


「我が国の法律をご存じでしょう? 

結婚した妻の産んだ子供は夫のモノとみなされます。

コレを覆すためには神殿の判定と裁定が必要です。

ソレが済むまでは子供もリリアも私のモノです」


「王の私に逆らう気なのか? 公爵にしておいてやってる私に! 

前回の時もお前はリリアをさらっていった。

今度こそ……王となった今度こそリリアを私のモノにする! 

もう私の邪魔をする父も母も居ないのだからな!」


「爵位など返上させていただきます。

リリアさえ側に居れば私は何も要りません。

出て行けとおっしゃるならこの国から出て行きます。

でもリリアは一緒に連れて行きます」


前回って何のことなんだろう? 

二度しか会ってなかったハズなのにココまで執着するなんて変だよな。


訳が分からず頭をひねっているオレ達の前でとんでもないことが起きた。

公爵夫人が王を突き飛ばしたんだ。

王たちが居たのはスピーチ用なのか一段高くなった場所だったから

王はハデな音を立てて転げ落ちた。


「私はリリアさまじゃありません!」


え?! でも王も公爵もそんなこと関係なく話をしてたよね。

どうなってんだよ!コレ!! 

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