35・客。
公爵はオレのことを覚えていたようだ。
「君はどうしてココにいるのかね?
あの田舎の闘技場の街で猛者どもにイジメられてると思ったんだが?」
ちょっと闘技場の責任者に逆らったら次の日にクビになったんです。
コイツ(ケンジ)を買っただけなんですけどね。
まあ、色々あって王都に帰ってきたんです。
途中でギリィ様に雇ってもらったんでココにいるんです。
ケンジのオマケですよ。
「オマケ……ね。ギリィから君はかなりの実力者だと聞いている。
乗り込む先が先だから実力者は有り難い限りだができたら穏便に済ませたい。
どちらにとってもスキャンダルだからね」
表沙汰にはしたくないらしい。
でも奥方を拉致されても王を気遣うなんてオレにゃあ無理だけどなぁ。
「彼女が無事に帰ってくればそれでイイんだ。
王の一時の気の迷いなら……許すことはできないが理解はできる。
リリアは私にも王にも……特別なんだよ」
婚約報告と結婚式しか会ってなかったってギリィ様が言ってたんだが……
まあ、部外者には分からない事情ってヤツかね?
そうしていざ出発となったら出鼻をくじかれた。
客が来たんだ。
なんと闘技場の最強闘士だった。
なんで!? どうしてだ!?
オレ達は途中からケンジの絨毯できたから二週間の道のりを10日程で来てる。
追いつくなんて無理だろう!。
「普通なら無理だな。
裏技というか普通のヤツは知らないが神殿には転移陣があるんだよ。
上位の神官くらいしか使えないんだけどな。
オレってちょーっと神殿には貸しがあってさ。
丁寧にオネガイしたら快く使わせて下さったよ」
公爵はシブイ顔をしていた。
「なにが『ちょーっと』なんだね?
『ちょーっと』どころじゃあなかったと思うんだが。
我々はこれから忙しいんだ。
君の暇つぶしに付き合ってるわけにはいかない。
……なんで彼等がココに居ると分かったんだね?
レオ君は実家にすら帰ってないのに」
公爵は最強闘士と知り合いらしい。
退屈することが最大の敵みたいなヤツだって分かってるみたいだし。
「レオはともかくケンジはちょっと気配が独特なんでな。
索敵をかけたら一発だったよ。
ケンジとレオが居なくなったら余計にアノ街が退屈に思えてな。
なので暫くお前らと王都で遊ぼうと思って転移してきたんだよ。
取り込みなら手伝ってやってもイイぞ。
公爵閣下の取り込みなら面白そうだしな」
どうも公爵でも無碍には扱えないヤツらしい。
でも最強闘士って一体……?
正体を聞いて納得したね。
魔王を倒した『勇者』だったんだ!!!




