閑話・ずーっとジジイなクタバらないギルマス。
帰ってくるなりアノ野郎はワシに向かって
「まぁだクタバってなかったのか!」と叫んでくれやがった。
まあ、な……自分でもいつからジジイだったか忘れちまったからな。
みんな知らないが四代ほど前にエルフの血が入ってる。
オカゲで微妙に皆とは寿命が違うようだ。
得なのか損なのか……それこそどっちでもイイくらい生きてるからな。
ギルドマスターになって大分たつがこんなにバタバタとベテラン連中が
引退したのは初めてくらいだった。
だから街に戻ってきたアノ野郎が引退するというのを引き留めた。
ベテランは何もしなくてもソコに居るというだけで皆に緊張感を与えてくれる。
若手の重しみたいなもんだな。
新人は変なヤツラだった。
身分証明のために登録するヤツはモチロン居る。
でもどことなくなんとなく変なヤツラだった。
成人してるようなのにガキとしか思えないヤツとひねた若造。
採集依頼で出かけたと思ったらソレは依頼量の十倍も採ってくるし
オークを六頭も仕留めてきた。
オマケに群れが森の向こうからコッチに向かっているという。
そんなバカなコトが!? と思ったら飛び込んできたベテランが目撃証言をした。
焦るな! って言っても無理だよな。
だが、こういう時のためのマニュアルはちゃんとある。
警戒警報、避難命令、街の代官への報告、ギルドメンバーへの非常招集。
新人は普通こういう時は街の警備くらいだが発見者だということと
索敵が出来るのが分かったので討伐隊に組み込んだ。
それにオークを六頭も仕留めるほどの実力者を活用しない手は無いからな。
新人どもは「分かってる」ヤツラだった。
先輩達の邪魔もしないしちゃんとフォローもできる。
回復魔法ができるのには驚いたしジャブジャブというくらいの回復薬を皆に
使ってくれた。
代金の心配をしたくらいだが受け取らなかったよ。
「みんな一緒に戦った仲間ですからね。
それにアノ薬は自分で造れますから気にしなくてイイですよ」
随分と効き目のイイ薬だったようなんだが。
エースは連中に頼んで造り方を教えてもらったらしい。
引退したら亡くなった義弟の薬屋をやるつもりだったようだ。
店は親と未亡人になった妹にやらせてアノ上級と言っていい回復薬を造ってる。
オカゲで闘技場の街から出荷要請まで来た。
だが引退はどう考えても早いと思う。
なので新人の指導員を頼んだ。
現役を引退してもそう簡単に縁切りはさせたくなかったしな。
最近は新人だけじゃあなく中堅な連中までエースに稽古をつけてもらってる。
後から聞いたんだがアノ新人どもはメンバー達に便利な魔法を教えてたそうだ。
「オカゲでスッゲー便利でさぁ。
できねぇ連中から羨ましがられてんだよ。
ちゃんとイメージと集中ができればヤレル奴って多い気がするな。
ギルドで講習なんかしたらイイと思うゾ」
ということで指導員なエースの仕事は増えた。
ダンジョンに行くという冒険者どももちょっとココの街に滞在して魔法を
習っていくようになっている。
街には有り難い客になってるな。
呪いを解いてもらうとかで王都に向かった新人ども。
あの実力ならもっとレベルを上げてやっても良かったがそれでも新人は新人だ。
本気で冒険者をしたいのかも怪しいヤツラだし一つレベルを上げただけだ。
それでも並の冒険者より皆のためになることを残していってくれた。
レベル一つくらいじゃあ足りなかったかもな。
まあそれでもちょっと嬉しそうな顔をしていた。
連中はまた来るだろうか?
来なくても連中ならどこでもちゃんと冒険者ができると思う。
呪いで記憶が飛んでるなんて言ってたな……解けるといいんだがな。




