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29・散雷。

 待ち人達にあと少しのところで馬車を止めた。

ケンジはあの短い棒を持っている。

そうしてソレに魔力をこめた。

ブン! という音とともに現れたのは弓だった。

でかい!! 


ケンジの身長は成人したてにしては高い方だろう。

そのケンジより長い弓だなんて……


「魔力の弓なんで魔力は込め放題です。

オカゲで普通の弓より飛距離が出るんですよ。

矢も魔力の矢ですから魔法も乗せ放題です」


そんなに魔力をてんこ盛りに出来るヤツなんてそう居るわけが無い。

大体そんなマジックアイテムいつから持ってたんだよ! 


「あー、アイテムボックスの中をちょっと整理してみたら出てきたんです。

偏屈なオヤジが友人が持ってたダンジョン産の弓を参考に造ったようです。

オヤジの名前が思い出せないのが歯がゆい感じなんですけどね」


そういうと盛大にパチパチと魔力が跳ねてる矢を待ち人達の頭上に向けて

放ったんだが……ソレは連中の頭上で爆ぜた。

雨のように降り注ぐソレは雷のようにも見えた。

電撃魔法? 


「ん~、散雷の魔法ですね。電撃魔法を魔力の矢に乗せました。

一応10人くらいは残しましたよ。

無力化した人達の護衛がわりですね」


電撃魔法を使えるのは勇者だったはずだ! 

勿論勇者でなくても使える者がいないわけじゃあない。

だが、勇者より効率が悪いというか使うと魔力がほとんどカラになるはずだ。

コイツはどうみても平気……だよな。

まさかとは思うけど……ホントに勇者なのかも(汗。)


「あ! この人指揮官みたいですね。拘束してみましょう」


そう言うと魔力の矢をもう一本造ると飛ばした。

馬車を進めてその指揮官だという人物の所に行ってみる。


あー、気の毒に……

いつかのオレと同じように魔力のヒモでグルグル巻きになっていた。

ところが驚いたことにソイツはオレとは違った。

ブチブチと魔力のヒモを切ってたんだ。


「おー! スゴイですね。

そのヒモ、自信作だったんですけどね」


ヒモを全部切った指揮官はこちらを睨んだ。

そうしてその場にひざまづいた。

それからゆっくり土下座したんだ。

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