28・棒。
馬車に乗っていたのは文句娘と桶娘だった。
な、なんか気まずい……よなぁ。
まあ、昨夜のことはシランプリしとくのが大人ってもんだよな。うんうん。
「もうじき王都だが彼女達に王都でしてほしいことができてね。
通常の人員募集をしてる時間は多分無いだろうと思うんだよ。
オークションでの予想額に多少の色を付けて譲ってもらったんだ。」
「でも、これから戦闘になるかもしれないのに……」
「ソコは君の魔法に期待してるんだよ。
私の知ってる魔術師達のレベルを君は遙かに超えてるからね」
「……まだ全部思い出していないと思うんですがねぇ。
魔法よりは槍とか剣とかのほうが好きですし。
……分かりました。
雇い主のアナタより女性達をかばっちゃうかもしれません。
その辺はご勘弁ください」
「女性優先かね? (笑。)
まあ、我々は多少戦えるし彼女達は非戦闘員だからそれで構わないよ」
結局一行は女性二人が増えて出発した。
足手まといと言えば言えるが馬車から出なければ危険は無いと思う。
待ち人達はタダの山賊や盗賊じゃあなさそうだしな。
ケンジの魔法はオレが今まで見てきた魔法と少し違う。
オマケに魔力の保持量が日に日にとんでもなく増えていく。
それでもそのことに狼狽えた様子も無い。
多分無意識にアノ量でも平気だと感じてるんだろう。
昼食の休憩の時にケンジが皆に告げた。
この先に待ち人達が展開していると。
「最初は十五人程でした。魔術師の切れ目にいたのは五十人程でしたよ。
この向こうには百人くらいいますね。
お聞きしたとおり無力化して通過でイイですね?」
「ああ、だが戦えるのは五人だけだ。
魔法を使うとしてどうするのかね?」
「風魔法で薬なんか撒いてみようかとも思ったんですが全員無力化すると
魔物やら魔獣なんかに襲われかねませんからね。
別の手を使うことにしました。コレです」
ケンジが見せたのはアイテムボックスから出した棒だった。
拳から少しはみ出すくらいの短い棒……
そんなんで百人からの敵をどうやって無力化するってんだ?
マジックアイテムだとしてもとても攻撃に使えそうには見えなかった。




