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25・夜のお相手。

 隧道を通って隣の領地に抜けた。

魔術師の切れ目で待ち伏せしてたらしい連中は雨に濡れた上に待ちぼうけを

喰わせたわけだ。お気の毒さま。


次の街のやっぱり中くらいの宿に泊まった。

奴隷商の一行も一緒だった。

彼らは王都には行かずコノ街での奴隷オークションに参加すると言う。


「地元での仕事を希望する娘もいますが大抵は他所ですね。

オークションで高値が付けば一定の額が娘達側にも行くようになってるんです。

大抵が借金持ちなので返済にまわされますけど。

まあ、借金が減るんでみんな喜ぶんですよ」


知ってる相手じゃあないほうがそういう商売は気楽なのかもな。

ココでコイツラの一行とはお別れか……

ケンジは桶娘と話していた。


「娼婦になるのをやめる気は無いのかい? 

お金ならオレが出してもいいんだけど……大きなお世話かな?」


「どうして私にそんなことを? お友達に似てるってだけなのに?」


「う~ん、まあ、彼女のこともその他の友人達のこともほとんど

思い出せないんだよ。

でも彼女や友人達が困ってたらやっぱりなにかしてあげたいと思うかも。

だから君に身代わりって感じでなにかしたいのかもしれない。

自分でもなんだかよく分からない気分なんだよ」


「私のために……ってコトじゃあ無くてお友達や自分のためってコトね。

そう言われるとこっちもなんだかよく分からない気分になっちゃうわねぇ。

でもお薬ももらっちゃったしこれ以上はやっぱり遠慮したいわ。

アナタの気持ちに逆らうようで悪いんだけど。


私が娼婦になることで家族が助かるのよ。

戻っても彼らは困惑するだけでしょうしね」


「やっぱり大きなお世話だったんだね。

オレが思ってるよりアノ奴隷商さんはイイヒトみたいだし。

オレは気が付いたら闘技場で奴隷になってたんだ。

奴隷だったくせに奴隷に偏見持ってたみたいだね」


「奴隷商さんは色々言われるけど就職の斡旋をしてる面もあるのよ。

他所の国は知らないけどこの国だとほとんどの奴隷は期間限定なの。

犯罪者とか反逆者なんかだと一生奴隷ってこともあるんだけどね」


「オレって金貨一枚で売られたんだそうなんだけど期限があったのかな? 

その辺は確かめてみなかったんだけど」


ケンジの期間は十年だった。

金貨一枚にしては長かったと思う。

まあ、あの金貨二千枚って値段は買うヤツが払うんであって

ケンジの期間には関係なかったんだ。


桶娘は自分の意思で娼婦の奴隷になることにしたようだ。

でもケンジは気が付いたら奴隷だった。

同じ奴隷でも奴隷で居ることへの覚悟や気持ちが違うのは当然だろうな。


二人はとりとめのないことを話していた。

どうやら桶娘は「友人に似ている娘」から「友人」に昇格したようだった。



 その晩オレの部屋に客が来た。

宿の二人部屋に空きが無くてオレとケンジは別々の一人部屋だったんだ。


やってきた文句娘の言うことには

「主人の奴隷商が一晩お相手をしてきなさいって言うのよ。

どうやら最初のお客さまはアナタみたい。

よろしくお願いするわね」


……オレ達が二人部屋だったらどうするつもりだったのかね? 

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