24・隧道(トンネル)。
鑑定士には口止めを兼ねて多めの鑑定料を払った。
「目の前でみててもとても信じられませんからね。
誰かに話してもホントだとは誰も思いませんよ。
まあ、酔っ払いの戯言くらいでしょうね。
でも、スゴイ薬ですから再現できたら是非とも皆が使えるようにしてください。
何年もこういう人たちの鑑定の仕事をしてますのでね。
酷い症状になってる人を鑑定したこともあるんですよ」
対策が早いほど大事にならずに済むんだが手当が遅れるとこの性病は命に
関わる事もある。
ケンジは再現できるとは言わなかった。
でも、コイツはお人好しだからな。
原料が確保できれば色々試してみると思う。
次の朝、隣の領地との境になっている山に向かう。
この山は少し妙な形をしている。
丸っこい山が続いているんだがテッペンがまるで城壁のような垂直の岩だ。
屏風のようにウネウネと続いている。
岩の厚さは向こう側までさほど無いそうなんだが何しろ堅い!。
垂直で堅い岩……まるで城壁だと言いたいオレの気持ちも分かるだろ?
ソレでも向こうへの通路は有る。
大昔になんだか原因は分からないけど頭にきた魔術師が吹っ飛ばしたという
切れ目だ。
マネをしようとトライした魔術師は数知れず。
でも成功者はまだいないようでソコだけがこの辺りでは唯一の通路だね。
街からはつづら折りの道をのぼって岩沿いに魔術師の切れ目に向かうことになる。
でも、岩のところまで上った時点で天気が急変した。
滝のような雨になった。
ケンジは風魔法で結界を張った。
そうしてなんと壁の岩に大穴を開けちまったんだ。
近くに居た馬車・徒歩・馬……その他旅人たちは皆ソコに逃げ込んだ。
「この岩、変ですね。
魔術でこの形に造ってるみたいです。
オレの土魔法に素直に反応してますからもっと広くできそうですよ」
はぁ? 魔術で造ってるってぇ?
城壁みたいな印象だったのは造った代物だったせいなのか?
ドンダケな魔術なんだよ! そんなのがあるなんて思いつきもしなかった。
子供にするお伽話じゃないだろうな?!
「造ってどれくらいなのか分かんないですけどね。
随分古いモノみたいです。
一人でやったんじゃあなさそうですよ。
微妙に連結してる感じがありますからね」
コレが全部魔術師達の連携で造られたモノだとすると一体何から守るために
造ったんだろうか?
そんな話はお伽話でも聞いたことが無いんだが……
「君はこの岩を掘れるということなのかな?」
「あー、多分……この感じだとできますね。
ココの岩はアイテムボックスに入れましたけどまだ入りそうですし。
向こうへはさほどの距離もなさそうですしね」
特別料金を払うというガリィ様にケンジは報酬を断った。
「さっき偵察の魔道具を飛ばしてみたんですが「魔術師の切れ目」の辺りに
待ってる方々が居るみたいです。
大分濡れちゃってるみたいですけど。
ココから抜け道を付ければ待ちぼうけさせられますからコレを造るのも
護衛の任務の内でしょう。
無料でイイですよ」
いつの間にそんなモノを飛ばしてたんだ?コイツ。
まあ、どうせあのアイテムボックスに入ってたんだろうが……
結局見てる間に向こう側へとトンネルが通じてしまった。
余裕で馬車がすれ違えるな。この幅なら。
雨宿りをしていた他の旅人たちも近道が出来たのを驚きながら喜んだ。
ケンジの魔力はそんなことをしてもたいして減った様子も無い。
闘技場に来たときに比べたらもう天と地くらいの差を感じる。
そうして増えた魔力を当然な風に使いこなしてるって……
ガキにしか見えないのにホントは怪物なのかもしれない。
ケンジの記憶が戻るのがなんだかコワイ気がしてきたレオさんなのでした。




