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閑話・引退した街の元エース。

 オレはまだヤレると思っていた。

それでも引退する気になったのは親の面倒を引き受けてくれていた義弟が

亡くなったからだ。


優しいが体の弱い男で薬師になったのはそういうのが関係してたんだろう。

妹はそんな幼なじみのアイツを気遣っていた。

まあ、結局そういう仲になってたんだ。


街の子供達に悪疫が流行ってその対策に無理をしてしまったらしい。

自分達の子供もかかってたんだそうだ。

子供達はかなりの子が助かったが義弟は無理が祟って……


未亡人となった妹、甥・姪、老いてしまった父と母。

仕送りはしてはいたもののそれだけではない手助けが必要だと思ったんだ。


街に戻って引退しようとしたらジジイなギルマスはまだ生きていた。

オレがこの街から旅立ったときすでにジジイだったんだが……シブトイな(笑。)

暫く引退は待って欲しいと言われたよ。

ベテラン達がどう言う加減か連続で引退したんだそうだ。


「せっかく帰ってきたんだから暫く名前だけでも現役でいてほしい。

若い連中を見張っているだけでも有り難いんだよ。

重しがいっぺんに無くなってちょっとみんな浮き足立ってる感じなんだ」


ホントはオレも辞めたいわけじゃあなかったからな。

この街の周辺程度ならそれほど負担が大きいわけもない。

そう思ってたんだが……

まさかオークの上位種の居る群れが出るなんて思ってもみなかった。

街の冒険者達を率いて討伐に向かった時には上位種には気付かなかった。


新人のガキが索敵を持っててくれたんで、意外とラクチンで

討伐できると思ったよ。

だが、ほとんど片付けた後のコアなヤツラは強かった。

上位種は無論のこと。


ヤバイ! ヤラレる! と思った瞬間になにかが飛んできた。

ソレはガキの援護だった。

オカゲでオレは命を拾った。オークどもも殲滅できた。

まあ、ガキが投げてたのが魔物のフンだったってのには

皆笑いを堪えきれなかったがな。


変なガキだった。

名前も聞いたことのない変なのだったし。

記憶が呪いで飛んでるなんて言うし。

普通は秘密にするハズの薬のレシピやら生活魔法やらホイホイと教えてくれた。

義弟の薬師はこんなのを聞いたらどんな顔をしただろう? 


あの回復薬はオレの冒険者生活のなかでもお目に掛かったことが無いくらいの

上級品だと思う。

さすがに魔力を込めて熟成させると聞いたときには驚いたね。

妹は義弟の仕事を手伝っていたから多少の薬の製造はできる。

妹に造らせてオレが魔力を込めて造っている。


ギルドのメンバー達にも評判は上々で最近は闘技場の街からも出荷要請が

来たりしている。

ダンジョンに行く連中もコノ街に寄って生活魔法やらクリーンの魔法を習って

回復薬を買い込んで行ってくれる。

多少ながら生還率があがったそうだ。


引退したがギルドとは縁が切れていない。

ギルマスのジジイに新人の指導員を頼まれたんだよ。

戦闘と魔法を教えてるんだ。

ケンジの魔法は威力はともかく便利この上ない。

集中力の訓練にもなる。

戦闘に集中は必須だ。

駆け出しはその辺りが分かってないし分かってても

まだ身についてるとは言い難いからな。


回復薬の売り上げと指導員の給料、たまの出動要請。

扶養家族は多いがなんとかコレで養っていけると思う。

現役の時の収入には及ばないがオレが仕事で死んだりしたらどうにも家族が

生きていけないってことになってしまう。


オーク討伐の報奨金は当分手を付けず取っておけそうだ。


ケンジたちはまたコノ街に来ることがあるだろうか? 

まあ、無くてもオレはアイツらのことは忘れないと思う。

どうみてもお人好しな二人だったからな。

ヒネてるくせにお人好しなヤツと成人してるハズなのに

ガキにしか見えないヤツのコンビなんて思い出すだけで

なんだか笑えてくるんだよ。

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