22・一気飲み。
どうやら勝手に鑑定しちゃってたみたいだな。
勝手にそんなことをすると相手が怒るのも当たり前ではあるんだが。
桶娘の持ち主に話すことになった。
ケンジが鑑定持ちで彼女が性病に感染していることを。
まあ、驚くよな。
彼女の相手が自分だったら特に。
「そんなことはあり得ない!
彼女は初めてだったし私は旅の前に状態を鑑定している。
ちゃんと娘達も購入の時に鑑定したし!
期間限定の奴隷とは言っても仕事は娼婦だからね。
最初に手ほどきをするのも仕事のうちなんだ。
細心の注意をしておかないとイケナイ仕事なんだよ」
この国は性病については他所の国より厳しい。
噂でしかないが国中に蔓延したときには王まで罹ってたんだそうだ。
王妃や後宮の女性たちにまで感染させてしまったそうで怒り狂った王妃の
強硬な要求で厳しい法律が制定されたそうだ。
やっぱり女は怒らせたらコワイね。
まあ、金のある王族・貴族はすぐに治療できただろう。
問題は金のない庶民だった。
なので国で金を強制的に貸して強制的に治療する。
そうして返済は強制労働……まあ、期間限定の奴隷にされるのが普通だな。
この街にも鑑定の出来るヤツはいるからソイツに鑑定してもらう。
鑑定料はオレ達……おっとケンジが出すからということで。
「噂でも役人に知られたら困りますからね。
あり得ないはずなんですけどねぇ」
手ほどきしたのってあの娘だけか?
「あー、もう一人いますが……
そういえばアノ娘は初めてじゃあなかった」
呼ばれた鑑定の出来るヤツも桶娘と主人の彼は性病だと判定した。
けれどもう一人は違うと言う。
風呂場で盛大に文句を言ってきた娘だった。
ケンジはその娘をジッと見ていたが妙なことを言った。
「指輪を外してみてもらえますか?」
なんてことないごく普通の手作りっぽい指輪だったんだが……
隠蔽の指輪だったんだ。
そうして彼女が感染源だったことが判明した。
持ち主の商人は驚いていた。
彼女を売ったのは兄のハズだったのに恋人で彼女はソイツの相手しか
していなかったそうだ。
「私としかそんなコトはしてないって……
コレ(指輪)は年期が明けたら一緒になるって約束の印だって……
彼が手作りしてくれて……」
低級の物でも魔道具を造れるヤツなら普通は金に困るなんて事は無いんだが
性病の治療は他の病気よりも薬も魔法も高い。
病気を隠蔽して彼女を高く売ろうとしたのかもな。
彼女らの主人な商人は速攻で奴隷商ギルドに連絡を入れて売り主を指名手配。
夜が明けないうちに捕縛したそうだ。
次の朝にはもう全てが解決していた。
スゴイね。法律があるとはいえこの早さは驚きだったよ。
「呆れたことに被害者というか売られたのはあの娘だけじゃなかったです。
娘達を売った金で自分の病気の治療をしたんだそうで……
治療費は高いですからねぇ。
私も治療費をどうしたものか……自分の分だけならなんとかできますが」
娘達の分までは無理か……こういう時は奴隷の持ち主が出すものなんだがな。
犯人は金を使い切っているから金は取り戻せない。
他にも被害者がいるから戻ってきたとしても端金だろう。
「オレが払いますよ。騒ぎにしたのはオレですから」
ケンジにそんな責任は無いんだが。
商人も分からずにいたら役人に捕まっていたかもしれないからと断った。
そうなると彼女たちは国の奴隷にされてしまう。
期間限定の娼婦としての奴隷より待遇と報酬が悪い。
奴隷の期間が長くなるだろう。
「お金でダメなら薬はどうでしょう?
一応なんにでも効く薬を持ってるんです。
皆さんの病気に効くかどうか試してみませんか?」
おいおい! なんだってそんな怪しい薬なんか持ってんだよ!
そんなのは聞いてねぇゾ!
アイテムボックスから取り出した薬は魔力を帯びていた。
造り方を教わった回復薬どころじゃあないねぇな、コレ!
文句娘はどうもヤケになってたようだ。
正体不明な代物なのに一気飲みしやがったからな。




