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21・言いがかり。

 「オレって変なんですかぁ?」


ケンジがしつこく聞いてきた。

あー、意外としつこいヤツだったんだな。

そうだな、お前は変だよ。


「ドコがそんなに変なんですか?」


その歳でそんなに強いってのが変すぎるだろ! 

オマケに魔法も全属性が使えるんだろ? 威力はともかくな。

そんなヤツなんて滅多にいねぇゾ。

案外とお前って『勇者』なのかもしれないな。


「ココの勇者ってもっと歳上の人だって言ってましたよね。

オレはまだ成人したてだろうってコトですから別人確定ですよ。

『勇者』なんてご大層なモンの訳ないですよ。

そういえば抜けてるなんていってましたねぇ? アレって?。」


抜けてんのはお前の過去の記憶と常識だ。

まあ、風呂場の姉ちゃん達は上手いこと誤解してくれたようだけどな。

女を怒らせたくなかったんだよ。

アイツラを怒らせるとロクデモナイことになったりするからな。


「なんかロクデモナイことの経験があるんですか?」


無けりゃあコンナ事をお前に言うかよ! 

散々酷い目に遭わされたんだ。

綺麗な女、カワイイ女、優しそうな女……でも怒らせたら……

アノ最強闘士と戦わされるほうがマシって気分になるゾ。


「う~ん、なんか分かったような分からないような……

家族に女性が居なかったのかなぁ?」


家族か…成人しててもこんなガキとしか思えないヤツじゃあきっと

心配してるだろうな。

まあ、居るなら……だが。

ともかくこの変な呪いが解けたなら記憶が戻って家族の元に帰せるかもな。

隣の領地の向こうは王都のある王領だ。

早いとこ着きたいもんだね。



なんとか風呂のぞきのトラブルを回避して「女には気をつけろ!」と

忠告したのにケンジのヤツはまた引っかかっていた。

しかもまたアノ友達似だというケンジを桶で殴った娘だった。

どう見ても完全に頭にきてるな……アレは。


「なんだってアナタなんかにそんなコトを言われないといけないのよ! 

そんな言いがかりなんて何が楽しいの!? 

いくら娼婦になる予定の奴隷でも言われたくないコトだわ!」


あー、何か言っちゃったみたいだな。

だけど場所がなんでまた女風呂の前なんだ? 


「君はさっきはかかってなかった病気になってる。

早く対処したほうがイイと思うよ。

なんたって性病だから」


ソ、ソレは……一大事だ! 

予定とはいえ娼婦になるとなったら……

性病はこの国では厳重な規制や予防がされている。

一般国民どころか貴族・王族にまで蔓延まんえんして大騒動になったことがあるからだ。

下手をすると拘束されて強制的な治療や服役が待っている。


言いがかりに使うにはアブナ過ぎるゾ! 

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