20・ゲンコツ。
手洗いに行ったはずのケンジが戻ってこないので見に行った。
まさか女風呂の前で倒れてるとは……
ノゾキでもしたのかな? (笑。)
……当たりだった……(汗。)
何やってんだよ! たった今護衛だって自覚しろって言ったばかりだろうが!
トコトコと自然な態度で入って行こうとして桶で頭を殴られたようだ。
ちなみに殴ったのは同じくらいの歳の娘だった。
目覚めたケンジは周りを見回した。
コイツは強いから多少殴られた位じゃあ気を失ったりしないハズなんだが。
「……あれ? オレなんでこんなトコに倒れてんですかね?」
女風呂をノゾキに入ってソコに居る姉ちゃんに殴られたんだ。
桶でな。
「えっ? あーっ! ゲンコツ!!」
だから! 桶だ! ゲンコツじゃねぇよ!
「いや、彼女……ゲンコツ……じゃあない……みたいですね」
何言ってんだ?
「あー、彼女……どうもゲンコツって渾名の友人に似てるようです」
なんだって女湯なんか覗いたんだよ!
お前は女には興味ないのかと思ってたんだがな。
「えーと……なんか彼女の後ろ姿を見たら付いていかないとイケナイような
気がしちゃったんです。
一緒に行かないとゲンコツを喰らいそうな気が」
う~ん、やっぱりコレって記憶の断片なんだろうか?
しっかし女の子……ねぇ。
闘技場には女の闘士はほとんど居なかったしココまでの道中でも特に女に
興味を示す様子は無かった。
ゲンコツなんて渾名が付いた女の子か……ソノ子ってコイツの彼女なのかね?
ともかくコイツは少し変で足りないヤツなんだと頭を指さしながら説明して
女湯に居たお姉さん方には平謝りということでコトを納めた。
「オレって変なんですかぁ?」
なんてケンジが聞いてきたが無視して謝らせた。
一人だけ盛大に文句を言ってきた娘が居たけどな。
女を怒らせると碌なコトにはならない。
相手が行きずりでも用心にこしたことはないからな。




