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19・風呂。

 次の領地との境になっている山の麓の街で一泊した。

中程度のごく普通の宿だった。

風呂のある宿だったよ。


各部屋に浴室があるのは高級宿で中程度だと大浴場というほどではないけれど

共同の浴場が有ることが多い。

下級なら風呂は無しで湯を桶でもらって拭く程度で済ますか街の共同浴場を

利用するということになる。


意外と大きめの風呂だったね。

ケンジは風呂が好きなようで入れるところでは必ずと言ってイイほど入る。

オレはさほど好きって訳じゃあないがケンジにつきあって入ってる。

まあ疲れもとれるしな。


偽商人達も一緒に入ったがどうみてもタダの商人とは思えないね。

体つきがゴツすぎる。

特に御者役を一番やってたヤツなんか傷跡だらけだった。


跡が残ってるってことは回復魔法を使ってもらうまでに

時間がかかったってことだ。

戦場とかだとそういうことが結構有る。

顔はごく普通な感じのヤツだけど案外と経験値の高いヤツかもな。


ボスなヤツは傷は無いがちゃんと鍛えられた体をしていた。

騎士みたいな雰囲気もあるから軍人なのかもしれない。

オレ達を護衛に雇ったけどホントに必要なのかね? 

まあ、一緒に付いていくだけで報酬が入るから文句は言わないけどね。


もう一人は入らずに居たがアレは周りを警戒するためだろう。

丸腰になる入浴中は狙われてる身としては危険な時間だからな。

何かあってもケンジが魔法を使うだろうからホントは心配ないんだが。


そう思ってたんだが……コイツ、なんでのぼせるほどかってるんだよ! 

一応護衛なんだぞ! そんなに緩んでてどうすんだよ! まったく! 


「ハハハ、まあ、そんなに叱らなくてもイイよ。

君たちが居るだけで我々は楽が出来てるからね。

まだ冒険者になったばかりだと言ってたし経験はこれから積むんだ。

なにより彼は若い。どうみても成人したてだしね」


あー、確かにな。

強いんだがなんというかガキ臭がどうしても抜けないというか……

多分成人してると思うんだが……

その辺は記憶を持ってないから確認もできないしなぁ。


「記憶が無い?」


闘技場の街で会ったんだが金貨一枚で売られて来たんだ。

二日ほど意識が無かった。

目覚めても自分のコトが分からなかったんだ。

記憶がほとんど飛んでた。


時々ポツポツ思い出すようなんだが決定的なコトはまだだ。

神官に診てもらったがどうもハッキリしなかった。

呪いのようなんだが。

王都の位階の高い神官なら……って言われて王都まで行くことにしたんだよ。


「他人のハズの君はなんだって彼と一緒に行くことにしたのかね? 

ほっといても良さそうなもんだと思うんだが?」


まあな、お節介だとは思うよ。

オレが居なくてもコイツは自分のことはなんとか出来そうにも見えるんだが

この通りガキなところが満載なんでなんかほっとけなかったんだ。

それにコイツにちょっと借金もしててな。


「闘技場の賭け……かね?」


オレは王都の出身で親も王都に居る。

両親ともに病気なんで金が必要だったんだ。

回復魔法の効きにくい体質のヤツが居るって知ってるか? 

オカゲでちょっとやそっとじゃあない金が必要だったんだよ。


「売られてきたのに君に金を貸せたのかね?」


最初は通路で拾った銀貨だったんだが闘技場での賭けに勝ってた。

オレは賭け事は好きだが弱い。けどコイツは強かったんだ。


「ソレで自由になったのか……」


まあ、そんなトコだ。

コイツの値段が上がりすぎて大変だったんだがな。

アソコの最強闘士が買いたがるなんて思わなかったし。


長椅子に寝かせておいたケンジは話し声で頭がハッキリしてきたようだ。


「……レオさん……すみません。

お風呂に浸かってると何か思い出しそうな気分になるんです。

すみませんでした……今度は気をつけます」


オレじゃあなくて雇い主に謝っとけ! 

護衛だってコトを忘れんなよ! 


「はい。ガリィ様(偽商人)……申し訳ありませんでした」


「まあ、君の事情も聞いたから今回は目をつぶるよ。

記憶が戻るといいね」


多少の同情もあったようだが今回は目こぼしだった。

だけどソレで終りじゃあなかった。

ケンジのヤツが倒れてたんだ。

女湯の前で! 

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