表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/87

1・飛ばされた。

 その他大勢の兵士さん達。

いつもお仕事ご苦労様です。


下が大勢いるからこそ上の連中が威張ってられるんですよぉ。

もっと大事にしてほしいですよねぇ。


まあ、上の連中って下のことなんか考えてないし目にも入ってません。

それでも頑張るその他大勢。

うんうん、エライねぇ。


でも君たちってモブなんだよね。

 オレは王都の警護をしてた兵士だ。

一応部下も五人いたんだ。

それが今は辺境と言ってもいい田舎で一番下っ端の兵士になってる。

なぜかって? 

うん、まあ……ミスったというか……


酒と賭け事が好きなんだがどっちも好きな割に弱くてな……

負けて酔っ払って絡んだ相手がお忍びのエライさんだったんだよ。

勤務はマジメにやってたんだけどな。


まあ、ソレでもあのエライさんはオレの首を切らなかったから

サスガというべきかね? 

別の意味でクビにしてくれたけどな。


今居るココは田舎の割には人の出入りの多いところだ。

少し離れた山の中の盆地にダンジョンが有るんだ。

ココはソコへ挑戦する冒険者達の拠点なんだ。

そうしてそういう連中が訓練代わりにやってた模擬戦がいつの間にやら

賭けの対象になっていた。

今じゃあ立派な闘技場まである。


なのでコノ街は冒険者やら剣闘士やら危ない連中がゾロゾロだ。

モチロン奴隷も居る。

ダンジョンに連れて行かれたり闘技場で戦わされたり夜のお相手なんかも

させられてる。男女ともに……な。


オレは左遷といえば左遷だが給料はかえって増えた。

危険手当なんだろう。

兵士を辞めようかって思わなかった訳じゃあ無いんだが辞めたらとたんに

「始末」されそうな気がしたんだよ。

アノ貴族の笑顔がそう言ってる気がしたんだ。


それに王都に残しては来たがオヤジは病気で動けなくなってる。

お袋は介護につきっきりだ。

嫁もまだいないしなぁ。

結局オレの給料で親どもを養ってるわけだ。

辞めたくても辞められないんだよ。


危険手当があるけどココの街はそれほど危ないわけじゃない。

ちょっと猛者どもが多いだけで普通の街と変わるわけじゃない。

オレみたいに酒で羽目を外す奴はいるけどな。


オレの主な仕事は闘技場の警備だ。

闘技場の専属の奴隷を見張るのも仕事の一つだね。

逃げ出さないように。



 ソイツは変なガキだった。

自分に隷属の首輪がついてるのが納得いかないようだった。

こういう奴は逃げたがるんだよ。


まあ、ココに来たときは寝てたからな。

というか意識が無い状態だったんだ。

ゆすっても叩いても、あげく蹴飛ばしても反応が無かった。

コイツは誰かに嵌められたんだろうか? 


だが、ココに来た以上よほどのことがない限り出られない。

死ねば別だがな。


目覚めたガキはこう言った。

「オレが奴隷ってどーいうコトなんだーっ!」


知るか! 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ