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女の戦い


 「……相変わらず、外に出ないわね」


 「ヒマですねぇ……」


 「合コンとか行かないのかしら?」


 「呑めない、話さない、歌わない女に需要がありますか?」


 「……それもそうね」


 「「アッハッハッハ」」


 「いや、笑い事じゃないわよ!」


 「じゃあどうしろと?」


 「……」


 「こんな日がな一日ゴロゴロして、コツコツ謎作りしてる女なんていないですよ? 出掛けたかと思えば一人で競馬場ですよ?」


 「……………」


 「見たことあります? 今だかつて」


 「……ないけど」


 「隊長の言葉を借りて言わせてもらえば、出会いなんて『あり得ないわ!』ですよ」


 「根はいい子なのよ?」


 「それを一目で見抜けるダンスィがいますかね? 聖徳太子じゃあるまいし」


 「……何か今日はヤケにドライね」


 「ドライ? これは事実を述べてるだけです! 私だって恋したい!」


 「私だって!」


 「「恋がしたい!」」


 二人の嘆きは響くのか?


 休日を満喫していた午後のこと。


 休み初日はもっぱら家でゴロゴロしながらサイトに入り浸る私は、ソファーの上の愛馬『ロシナンテ』を枕に、ガラケーをポチポチしている。


 まったりとアンニュイに過ごしていると、


 自称乙女の独り暮らしの部屋のピンポンが鳴る。


 ……何だ?


 気の小さい私は、ガバッと身を起こし、ミーアキャットのように周囲を警戒する。


  (゜◇゜;≡;゜◇゜)


 足音を立てぬように玄関まで進む私は、『くの一』さながらの動きを見せる。


 女の独り暮らしは、このくらい慎重でなくちゃね!


 (`∀´;)どなた?


 私はA〇フィールド全開で、ドアの向こうに声を掛ける。


 「お届けものです」


 何か買ったっけか?

 (;゜д゜)?


 「誰からですか?」


 そう簡単に開けられないわよ!


 油断して開けて襲われたら大変だ!


 今まで守り続けた私の操は、まだ見ぬダーリンだけのものなんだから!


 警戒心MAXの私に困惑する自称配達員は面倒そうに返す。


 「コヒナタミズエ様からですが……」


 (´∀`;)マミー!?


 私はドアを開け、荷物を受け取る。


 割りとイケメン!


 待たせてスマヌ……ブラックキャットのお兄たん。


 (´∀`)お茶飲んでく?

 冗談だけど!




 荷はなかなかの大きさ、そして重さだ。


 何故に発泡スチロール?


 (;´д`)よっこいしょーいちっ!(パピーの真似)


 冷蔵品だと睨んだ私は、キッチンで中身を改める。


 (;・∀・)ノ⌒ぱかっ!


 (;゜д゜)何だコレ?


 半透明なビニブに入った赤グロい物体Xに、私の時は止まった。


 (;゜∀゜)マジ何ぞ?


 すぐさま、マミーに電話する。


 【(・д・)モシモシ?


 「ヒナ届いた?」


 【(・_・)うん。何アレ


 「見ての通りタコよ!」


 【(;゜д゜)なんだとぅ?


 独り暮らしの娘に生タコを送り付けるたぁ、どんな嫌がらせだよ!?


 私、軽くキレる。


 「だってナマモノは鮮度が命でしょ?」


 【(#`д´)だからって丸のまま送らないでよ!


 「茹でたてが美味しいのよ?」


 【(#`д´)バッキャロゥマミー! 独り暮らしの乙女が食べきれるサイズか?


 「冷凍しなさい」


 【(;´∀`)そっか!



 【(;´∀`)………。



 【(#`д´)……いやいや違うよ! どうやって処理すんだよ!


 「考えるな、感じろ!」


 【(#`д´)バカかよ? 雰囲気でやることじゃないでしょ?


 「アンタ、お祖母ちゃんの近くで散々見てきたじゃない? 忘れたとは言わせないわよ」



 【(´;ω;`)ばぁちゃん……。



 ここで私がセンチメンタルモードに入る。


 「……健闘を祈る」


 その隙にマミーは電話をガチャ切りしやがった!



 【(゜∀゜;)アレッ?


 【(゜∀゜;)マミー?


 【(゜∀゜;)モシモーシ



  (゜∀゜;)………。



 ρ(`д´#)チキショウ! やったらぁ!


 クレイジーマミーめ!


 ヤケクソになった私は、ビニブの中の火星人を引き摺り出す。


 (≧ρ;)クセェよぅ。


 ヌメヌメのヤツをボウルにぶち込み、塩をぶっかける。


 手が荒れるよぅ……。

 (´;д;`)ぐすっ


 白魚のような手なのにぃ……(当社比)


 塩を擦り込み、ヌメリを取って、水で流すを何度か繰り返す。


 (≧д≦)排水溝、つまんないかなぁ……。


 よく見たら、なかなかのビッグワンじゃんか!


 こんなの入んねーよ! バーロー!


 私は仕方無く自慢の関の孫六包丁を取り出す。


 我が家一デカイ鍋である圧力鍋に水を入れて、湯を沸かしてる間に、この検体の解剖を致さねばなりますまい。


 先生……お願いします!


 白く光る孫六先生に少しだけ魅入ってから、ボウルの中の亡骸をまな板の上に乗せる。


 いざ、介錯つかまつる!


 私が動かぬように押さえつけると、


 ぴとっ……。(吸盤が私に吸い付く音)


 \(`◇´;)/ギャー!


 まだ、ご存命でらっしゃるじゃん!


 (((゜д゜;))キイテネェゾ! こんにゃろぅ!


 身体中に走る悪寒、浮き出るサブイボ。


 並々ならぬ生命力にビビりまくる私。


 逃げちゃダメだ!

 逃げちゃダメだ!

 動いちゃイヤだ!


 無い勇気を奮い立たせ、リトライする私。


 あとは勇気だけだ!

 σ(;д;)/(半泣き)


 加速装~置!(ヤケクソ)

 σ(`∀´#)/≡)


 行くぜ! ピナの傷っ!

 ヤー! σ(`∀´;)/


 ザンっ!!


 私は頭と腹の切断に成功した。


 スゴいぜ! 孫六先生。


 腹の中の臓物を引き摺り出すため、手を入れる。


 ウヘァ………何かグチュグチュ言ってる……。


 私もツワリそう!


 なんとか引き摺り出し、ビニブに投げた。(捨てるの方言)


 続いて、足を四本ずつに切らなければならない。


 しかし、そこには障害があった。


 そう、クチバシである。


 別名タコトンビと呼ばれるヤツを取らなければならないのだ。


 うらめしそうに私を見つめる目がどうしても気になるので、ひっくり返す。


 カンニンやで~!

 成仏しなっせ~!

 (((≧人≦)))ナムナム



 隠し剣! ピナ刺しっ!

 σ(`◇´;)/ちぇすと!


 ……ザクッ!!


 切り込みからクチバシの摘出を試みる。


 オェ……ップ。


 イヤだ~助けて~!


 摘出したクチバシをビニブにイン!


 足の切り離しに成功!


 (;´∀`)オペ終了。


 ミッションコンプリートだぜ……。



 チャラララッチャッチャッチャ~ン♪


 ピナコの能力がそれぞれ上がった!


 力+0 すばやさ+0

 賢さ+0 身の守り+0

 かっこよさ-5

 母への怒り+99



 フゥ……。(´∀`A)



 湯が沸くのを待つ私。


 数分後、煮えたぎる湯に塩をぶち込み、解体したタコさんを足先からゆっくりと投入する。


 鮮やかに色を変えながらクリンと丸くなる足。


 天パみたい!(@゜∀゜@)


 全て入れたら、ぶつ切りした大根を入れる。


 こうすると、柔らかくなるんだって!


 ばぁちゃんが言ってた!


 ばぁちゃんは偉大だ!



 茹で上がるのを暫し待つため、優雅にティータイムに入る私。



 (´∀`)う~ん…フィラデルフィア~ン♪



 そして茹で上がり確認!


 タコさまを湯から取り出し、あら熱を取る。


 アディオス大根!


 君を煮てやる気力が無いんだ……。



 と……ちょい待ち!



 タコさまの味はどうなんだい?


 私は足の先っぽを孫六先生で切り、食べてみる。


 ……んまいっ!


 テーレッ(゜∀゜)テレー


 口に拡がるタコの旨味と程好い歯応え!


 私、天才!(@゜∀゜@)♪



 あら熱が取れたらデカめのチャックつき袋に日付を書いて冷凍室にしまう。


 ジッ〇ロックはノーベル賞だよ!


 ノーベル役立つ賞とかは無いけど。



 終わった……何もかも。



 私は達成感に包まれながら、しばらくソファに横になる。


 ……そうだ!


 タコパだ! タコパしよう!(@゜▽゜@)~♪


 私は、ふと思い立ち姉に電話する。



 【(´∀`)モシモシお姉ちゃん?


 「ヒナ、どうしたの?」


 【(´∀`)あのね、マミーがね……。


 「そうそう! マミーからカニもらったから、ウチでカニパーティーやるけど来る?」


 【(´∀`;)カニ?


 「そう、カニ」


 【(´∀`;)おててのハサミがちょきちょきする?


 「そう、ちょきちょき」


 【(´∀`;)あの高級食材でお馴染みの?


 「そうソレ、ヒナ好きでしょ?」


 【(´∀`;)甲羅の中のカニミソは、実は肝臓の?


 「それは知らない」


 【(´∀`;)ずわい?


 「ずわい」


 【(´∀`;)ホワイ?


 「えっ? 何だって?」


 【(´∀`;)デカい?


 「かなり」



 【(゜∀゜;)………。




 ρ(`д´#)ガッテム!


 ヘイヘイどういうこったい? マイマザー?


 姉妹のこの差は何なんだぜ?


 差別! ダメ! 絶対!


 タコとカニじゃあ足の数くらいしか近似値ねーよ!


 私、母にキレる!



 「都合悪い?」


 【(;ω;)……行ぐっ! 這ってでも行ぐ!


 「じゃあ待ってるね!」


 (´;ω;`)マミー…。



 (ρд`+)くすん……。


 泣きながら後片付けする私……。



 その後、複雑な想いを胸に、ルパンを走らせる私の助手席には、変わり果てたタコさまのご遺骸が乗っていた。




 姉んちで食べたカニは、ちょっぴりしょっぱい味がした……。


 お姉ちゃん、少し塩入れすぎたね……。


 どんまい!b(≧∀・)



 マミー……覚えとけよ!

 ρ(`Ⅲ´#)ぐぬぬ……。



 まぁ今度、ヨシナガさんとみぃちゃんとタコパしてやるからいいや。


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