早朝のふたり。
早朝。
「・・・んだよ・・・」
端末が鳴り、画面を確認する。
メール一件。
【差出人:ジャン
宛先:アニキ
件名:おはよーっす
本文:
モーニングコールならぬモーニングメールっす。いい加減自分で起きてほしいんすけどね…まあいいや、
仕事あっから準備して出てこい。
3分だけ待ってやる。】
聞き覚えのある台詞だな、と思いながら怠い身体を起こす。
「ん・・・っ」
隣で眠っている黒髪の女を何処か懐かしい気がして目を細めて眺めていると、寝返りを打ってこちらを向いた。
「・・・エン・・・?」
早朝だからまだ眠いのだろう。
目を開けたかと思うと、その目をこすって眠たそうな声で名を呼ばれる。
「起こしたか」
「はい・・・お仕事ですか?」
「おう。寝てろよ」
「ん・・・」
ふにゃっと笑う彼女の髪をわしゃわしゃと撫でると、彼女も身体を起こして抱き着かれた。
「・・・なんだ」
女に触れられるのは正直苦手だ。
嫌いではないが、胸が張り裂けそうなくらい恥ずかしくなる。
見た目と反して男らしくない、とはよく言われたものだ。
「・・・帰ったら、」
「?」
呟くように小声で言った彼女に首を傾げてやると、
「帰ったら、たくさん甘えてください。癒しますから」
と言われた。
甘えるのは苦手なんだけどな、と心の中で呟いたが口にはせず、
「わーったよ、さっさと寝ろ」
と言って部屋を出た。
彼女がくすくす笑っている気がしたのは気のせいだと願いたい。