表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺と私は紙一重  作者: ねむ44
7/23

おでかけ

「昨日、あの後どうなったの?」

「どうにもなってねーよ!」

「告られたんじゃないのー?」

「違うわ! そんなんじゃねーよ!」


あー、めんどくさいめんどくさい。

大学生にもなって彼氏がいたことのない姉ちゃんに言われたかねぇな。

いや、いたことあんのかもしれんけど。

今は確実にフリーだな。女子力の低さでわかるわ。


「んで、姉ちゃん今日仕事は?」

「休み。」

「なんで? 珍しいな。」

「今日はですねー……」


わざとらしく咳払いをして、笑顔で言った。


「でぇとぉ♡’’」

「姉ちゃんにも男が……!」

「間違いでもないけど。でも、今は女の子。」

「え、それって……?」

「今日はあんたとウインドウショッピング♪」




「うんうん! 私のがあってよかったわね。」

「なんでこんなに派手なんだよ……」


服は全て姉ちゃんから拝借した。

流石にこの身体で男物を着ると違和感があるからな。


帽子から靴まで全てがピンクで染まっているのがかなり気になるところだけど、

姉ちゃんはもう着れないサイズの服だとしても姉ちゃんのものなので文句は言えない。


「あんた色白だからピンクが似合うわよ!」

「知らねぇよ。いや、女なら色白のほうが……」

「さ、いこいこー!」

「自分で言っといてスルー!?」


いつの間に買ったのかが不明なペットボトルのジュース片手に歩き出す姉ちゃん。

鼻歌も聞こえたけど、上機嫌の理由が謎だ。


ここはこの街最大のショッピングモールだ。

ありとあらゆるものが揃い、ここに来れば目当てのものは大概ある(と、姉ちゃんは言っていた)。

まぁその辺は生まれながらの女子である姉ちゃんのほうが詳しいだろうし、文句は言わずについて行こう。


「姉ちゃん。」

「どうしたの? トイレ?」

「違うわ! 何で俺をここに連れてきたんだ?」


姉ちゃんは嫌な目で俺を見つめる。


「なんだよ?」

「あんた、ずっとあのジャージで過ごすつもり?」


あのジャージとは、男の頃から着ていた部屋着コレクションの中の一着のことを指す。

当然、男物の服しか持っていない俺のコレクションの中で唯一女子もいけるラインをクリアしたのがジャージだったというわけだ。


「まぁ。平日は制服だしな。」

「甘いなぁ。ダメだよそんなんじゃ!」

「だってあれしかないし。」

「はぁ〜。呆れるわねぇ。

だから、今日はあんたの服を見に来たのよ!」

「あー!」


めっちゃシンプルな理由じゃん!

なんで気付かなかったんだろうな。


「私のファッションセンスを舐めるなよー!」

「おう……。」


気合い入ってんなぁ。

それはありがたいし、ファッションセンスを舐めているわけでもない。



ただ……嫌な予感しかしないんだけど。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ