帰還
ジリッと身体の芯が燃え上がるように熱くなる。
心拍数は上がり、身体の節々が痛み、視界がぐにゃぐにゃと歪み始める。
「う……あ……! な……に、これ……」
「霜北! おい! だいじょ……」
寄土が俺の身体を支えて何やら叫んでいるようだが、俺には何か口を大きく開けてぱくぱくしているようにしか〝見えない〟。
「はぁ……はぁ……」
何でこんなことになっているのか。
俺は瞬時にこの現象の理由を悟っていた。
寄土は……いや、寄土に限らずこの姿になってから初めて『霜北 柚春』と、フルネームで呼ばれたのだ。
この『霜北 柚春』という名前が引き金となって……
「お姫様抱っこはやめてくれよ。なんかっつーか、普通にホモホモしいからさ。」
「お前……!」
声は低い。
うなじにかかっていた髪が消え去る。
ずしりと思い、伝統の黒い服を着ている。
俺は俺として、霜北 柚春という一人の男子として、この世界に帰ってきたんだ。
「ただいま、寄土。」
「ああ。おかえり、霜北。」
場所を変え、俺たち二人は例の工事現場に腰を落ち着けた。嫌な思い出もあるけど、ある意味では始まりの場所だ。
「──と、いうわけだ。」
女体化したこと。
一度、ここで話したときに嘘をついた理由を何一つ包み隠さずに全てを打ち明けた。
「ふぅん。実によくわからんな。
一つ言えることといえば、お前は何かの『物語の主人公』になっていたわけだ。」
「まぁ、違う……こともないか。」
「だろ? 俺としては、お前が帰ってきてくれたことが一番嬉しい。」
「全部全部、寄土のおかげだよ。
本当に、俺の名前を呼んでくれてありがとう。」
「ひひっ、どう致しましてっと!」
俺と寄土は夕焼けの中で拳を合わせた。




