終焉への近道
「ふぅん。恵って寄土のことが好きなんだ。」
「そうなの。でも、どうしたらいいか……」
二人が夕陽でオレンジ色に染まった屋上の端にあるベンチで話をしている。
俺が恵の恋愛相談に選んだ相手は日尾だ。
また変なことを言ってこないかと少し心配だったのだが、真面目な恋愛相談とあって真剣な表情で頷きながら恵の話を聞いている。
俺は屋上入り口の付近で待機している。理由は、精神的に女子の恋愛事情に手を出してはいけないような気がして、これ以上近づくことが出来ないのだった。
「恋愛……かぁ……」
今の俺には程遠い話だろうと思う。
見た目と中身が矛盾している今の俺が恋愛なんてしたら、苦しみを味わうことになる気がする。
見た目は女子だから正常ならば男子と付き合う。
だけど俺の場合は精神が男だから男と付き合うのにはかなり抵抗がある。
かといって精神面重視で行動すると女子と付き合うことになり、周りからの視線が痛く感じる結末になるだろう。
どちらにしても同性愛になってしまうんだ。
「はぁ。限界が近付いてるかもな……」
始めから、永遠にこの姿、女子として生きて行くなんて考えてはいなかった。
最初は女子の生活に興味があって、浮かれて、楽しくやっていたけど。
今となっては、少し苦痛に感じる時がある。
「あんとき……ればよかったんだ……」
「なんだ? 独り言か?」
聞き慣れた声がしたので顔を上げると、寄土が静かに佇んでいた。
「話したいことがある。場所を変えよう。」
来たのは裏庭。屋上からは校舎が邪魔で見えないはずだから、その点は安心できる。
「で、話って?」
「お前、尋ねるときの言い方とか、立ち話するときの脚の微妙な組み方とか、ペンの持ち方とか、考えてるときに前髪を触る癖とか、全部全部、柚春と同じなんだよ。
こんな細かいことが偶然? いいや、ありえない。霜北 柚姫。お前、本当は……」
言うな。その先を言うな。
やめろやめろやめろやめろやめろやめろ!!!
「霜北……、柚春なんじゃないのか?」




