不思議ちゃん
「起立、礼。」
『『『ありがとうございました。』』』
授業が終わると同時に教室が生徒の声で溢れる。
さてと。俺も絡みに行こうか…………あ。
恵が今日休みだったのを思い出す。
『急な発熱で明日休みます(/ _ ; )』
と、昨日の晩メールが来ていたな。
恵が休んだとなるとだな、俺にはなー……
「友達いないじゃん……」
いやいや、決してぼっちって意味じゃないぜ?
男の頃はそりゃあみんなと仲良く騒いだりもしたしよー、楽しい毎日を過ごしてたよ。
そんなある日に女になったわけで。転入生(設定)って立場も立場だし、絡んでくる人が居ないんだよ。
「誰か居ないかねー……」
俺はぼーっと教室を見渡す。
と、窓際の一番後ろに座っている女子を見つけた。
まだ一時限目が終わったばっかりにもかかわらず、手には箸を持ち、机の上には弁当箱が広げられている。
「灯仲 ほたる……だっけか。」
灯仲 ほたる。通称ミステリアスガール灯仲。
ツインテールに真紅のリボンがよく似合っている。容姿はとても可愛らしいな。
でも、その容姿から女子に避けられ。
不思議な雰囲気から男子に避けられ。
あいつが誰かと接しているのを見たことがない。
「……絡んでみよう。」
暇して10分間を過ごすなら、可能性に賭けるのも悪くないだろ。うん。
「ほたるちゃん、だったっけ?」
「うん。あなたは転入生の柚姫さんだよね?」
「そうだよ。……お弁当早くない?」
我慢できずに尋ねてしまった。
「だって、お腹減ったもん。仕方ない!」
うーん。不思議ちゃんというか……。
「唐揚げ食べる?
メインディッシュだけど。あーん。」
「あーん。」
単に自由気ままな性格なだけの気がする。
つーか、唐揚げサクサクで超美味いんだけど。
「今、暇してる?」
「残りはお昼に置いとかなきゃダメだし、友達居ないしー。もちろん暇です。」




