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高校時代  作者: susabi
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第1話

高校は親の転勤で大阪の高校へと進学しました。岡山でのんびり過ごした私には、そこは眩しい大都会でした。田畑の間を自転車で中学校に通っていた私にとって、毎朝、満員の電車に乗って通学しようとは思いもよらぬ生活です。しかも自分の進む高校がどんな学校であるかということなど、親が調べてくれたわずかな情報以外に岡山では知ることも出来ませんでした。


府立高校なので、岡山のいわゆる普通の公立高校と大差は無いだろうと思っていました。入学してみてびっくり。そこは音楽とスポーツが盛んで中学時代にその分野で活躍した人たちが集まってきていた学校なのです。そうじゃない人たちは別の普通の学校を選んでいます。


この学校のメインイベントは年末の音楽祭。授業で音楽を選択した生徒達が華々しく舞台に立ちます。高校でも文化祭に命を注ごうと意気込んでいたのですが、どうやら他の生徒達の目的は音楽祭だったようです。しかしそんな舞台があるとは入学したばかりの私は知りませんから、当然選択授業は美術を選びます。美術を選ぶ生徒がクラスで4分の1も居なかったので不思議には思いましたが、まあ正直言って、音楽より美術のほうが全然好きでしたから、私には選択の余地はありませんでした。


どうも、のんびりとした中学時代と雰囲気が違います。私も中学時代は何でも上手く出来たほうなので多少の自信はありましたが、クラスメイトの経歴を聞いて自分のささやかな自信など吹っ飛びました。ここの生徒はすでに中学時代に特定の分野で大阪を勝ち抜いて来た人たちばかりだったのです。どこぞの私学なら分かりますが、府立にもこんなところがあったのです。好きで選んだ高校ならともかく、これは大変なところへ入ってしまったと気づいた時にはあとの祭りでした。


この学校で男子が生き抜くためには、体育会系の部活に入るかしか道はありません。もともと女子高だった(それも知らなかったが)ので、女子の発言力が強く、彼女達の嗜好によりスポーマン以外は男子ではなかったのです。


しかしながら、正直こんな超高校級の運動神経ばりばりの人たちと一緒に部活をする自信はありません。ハンドボール部は大阪代表の常連で、野球部はPL学園さえいなければ甲子園目前。その他の部もインターハイは当たり前。体育の先生はハンドボール部の熱血鬼監督。たかが体育の授業もスパルタ方式で、準備体操がうさぎ跳びでトラック一周。目を盗んで立って歩いたのが見つかったらもう一周。準備体操が終わったころには鐘が鳴る。単なる部員の基礎トレの時間だったのです。


それでもまだ事情が分かっていない私は美術部に入って絵を習いたかったのですが、そこに男子はいませんでした。じゃあ演劇部でもと思って訪ねたら、なぜだか男子禁制でした。


                                 続く


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