表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/100

(6)  僕は何?

 精一杯を生きよう! とは、卒業記念に担任の室月むろづき先生が僕達に残した言葉でした。先生は理論家で、黒板へ図式を書いてそのことを説明しました。それは、次のような図式でした。


        生まれ落ちた星の下

         ↓     ↓

        ハズレ   当たり



     ハズレの場合         当たりの場合

     ↓    ↓         ↓   ↓

   大ハズレ おしいハズレ  まあ、当たり  大当たり



 ○大ハズレ  =生まれ落ちたのが不思議なほどの大ハズレ

          生まれられたことに感謝し、奇跡を起こすく

          らい精一杯生きれば、当たりへと変化する可

          能性を残すハズレ


 ○おしいハズレ=当たらなかったが、それなりに当たりに近

           い残念なハズレ

         当たった人をねたまず、ハズレたことに落ち込ま

         ず、コツコツ努力すれば当たりへと変化する可

         能性を残すハズレ


 ○まあ、当たり=かろうじて当たったのだから、当たったこと

          を自慢するほどのことでもない努力を必要

          とする当たり


 ○大当たり  =完全な当たりだが、馬鹿当たりとも言える

          危険をはらんだ当たり


 この図式を示しながら室月先生はお話をしました。結果として、君達は精一杯生きよう! と結論づけられました。小むずかしい話は分かりませんでしたが、生まれ方というのはくじ運に似てるなあ…と思えました。

 帰って、僕は何? かを考えました。父さんは、それなりのサラリーマンです。母さんもそれなりの普通の主婦です。ですから、先生の話によるところの、まあ、当たりくらいか…と思え、ひとりニヤリと笑いました。食事中でしたから、母さんが、「なによ・・おかしい子ねえ」と言っていぶかしげに僕を見ました。僕は考えるのをやめて食べ終えました。子供部屋へ戻ってふたたび考えました。二人はそれなりの親なのですから、やはり僕もそれなりの普通の子供なんだ…と思えました。期待されるほどの子供ではありませんが、落ち込まれるほどの出来の悪い子供でもないんだ…と思えました。先生に言われた最後の宿題でしたから、そのことをノートに書き終えました。これで安心して冷蔵庫にあるドーナツを美味しいミルクコーヒーで食べらるのか…と思うと、えも言えぬ幸せ感を僕は覚えました。


                  完

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ