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(25) 大家族

 この核家族化のご時世に、山奥の一軒家に、なんと137人で暮らす中松家という大家族がいた。これはもう、完璧なギネスもので、世界各国から好奇心半分の観光客が押し寄せていた。竹田城跡の比ではなかった。こうなれば、家族生活どころの話ではなくなった。なんといっても、広い敷地に137人が暮らしているのだ。そうはいっても、山奥である。家の周囲の田畑を子供が生まれるたびに増築し、継ぎ足し継ぎ足しでなんとも不格好な家の構造になっていた。家の入口から一番、奥まで普通に歩いても10分以上かかるのだった。

「え~~こちらに見えますのが、世界的に評判になっております中松家でございます。敷地面積が実に…」

 中年男の観光ガイドは隣で通訳する女性補助ガイドに小声で、「おい! なん㎡(ヘーベ)だった!」とつぶやくように早口でたずねた。

「ちょ、ちょっと待って下さい!」

 若い新入補助ガイドは手持ちのマニュアルをあわててめくり始めた。

「もう、いい!! …え~~、ははは…広い家ですよね」

 大半が外人だから分からないだろう…と誤魔化しを決め、中年男ガイドは笑ってぼかした。そのとき、家から軍勢のように一斉いっせいに子供や大人が飛び出してきた。中松家の一日が始まったのである。観光客はあわてて左右に分かれ、軍勢の通路を開けた。中松家の人々は手を振りながらスターよろしく、登校やら出勤やらジョギングやら農作業やらに散らばっていった。空ではパタパタパタ…というやかましい音を立てながら放送局のヘリが旋回している。

「見えるでしょうか! 皆さんが動かれ出ていかれます。え~~、こちら現場、中松家の上空から、白坂がお伝えいたしました!」

 ヘリの中では手持ちのVTR機材を手に眼下の中松家を映すカメラマンとリボーターがマイクロホン片手に叫んでいた。

 今日も中松家のスケジュールは、ぎっしりと多彩で、長老は政府主催の来賓として、皇室列席のもと、国際的な夕食会に招待されていた。


                  完

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