過ぎ去ったハロウィン
どうしよう……マジでこんなことになるとか、無理ゲーすぎん?
◆
ハロウィンの街がめっちゃ盛り上がってたころ、クラスのえっと……名前出てこねぇわ、あのムカつく陰キャにばったり会った。
「これ、あんたのだろ? 持って帰りなよ」
あいつが差し出したの、確かにあたしが植え込みに押し込んだゴミだった。 ゴミ箱見つかんねぇし、中に缶チューの空き缶入ってるし持って帰れねーから、しょーがないじゃん。
だからはっきり言った。
「話しかけてくんな! キモいんだけど」
そしたらあいつ、すっごい目で睨んできてさ。
「そのピエロみたいな化粧、洗っても落ちない呪いかけたから。 せいぜい後悔しろよ」
「はぁ? 呪い? バカじゃん? ウケるんだけど」
マジで引いたんだけど、そのとき友達に呼ばれてさ、気付いたらあいつ、どっか消えてた。
◆
それで今朝帰ってメイク落とそうとしたら、落ちねぇんだわ……
コットンにメイクは付くのに、拭いても拭いても全然なくなんないし。 もう顔グチャグチャなんだけど、どうにもなんなくて意味わかんない。
さっきからシャワー浴びながら、洗顔料じゃ無理だからシャンプーでゴシゴシしてるのに、ドロドロ流れていくだけで洗っても洗っても落ちない。
「イヤ……イヤ……マジでイヤだぁ……」
シャワー止めたけど、かわりに涙が止まんなくて、涙とメイクが混じってポタポタ落ちるの見て……もう無理って思った。
こんな顔でどうやって生きてけばいいの……?
「何してるの道子……キャアアアアッ!!」
服着たまま扉開けっぱなしでお風呂にいたあたしを見て、ママが叫んだ。
気付いたらあたし、自分の顔をかきむしってて……お風呂の床、真っ赤だった。
「え、嘘……あたし……」
さっきまで服とか床とか汚してたメイク、なんで消えてんの? 全部、血じゃん……
鏡見たら急に気持ち悪くなって、その場に吐いちゃった。くっせえなこれ、と思ったのがあたしの最後のマトモな意識だったってわけ。




