☆6☆
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体験授業。
本来なら予約を取って、通常、夏休みなどに、ニ、三日開講するのが常だが。
炎華は竜破のクラスで堂々と体験授業を受けていた。
岡月律華は玄関の警備員だけでなく、虹祭学園の全教員に炎華フリーのお触れを、メールで通達したようだ。
不可思議な事に校長や教頭にも顔が効くらしい。ともかく、そのおかげで、炎華の体験授業はスムーズに進み、炎華の優秀さ、竜破の低能さが、心ゆくまで堪能出来たのである。
竜破は理数系は炎華をしのぐほど成績が良いが、なぜか文系の国語や歴史、地理などは小学生にも劣るという、常識しらずな情けないお粗末なレベルであった。
竜破はそれを、ちょっと前に遭った事故の後遺症と言っていたが真実は定かでない。
そんな竜破が体育の柔道の授業で、現役柔道部の主将をブン投げたため、一騒動起きる事になった。
竜破が、
「あっ、わりい、わりい。つい身体が勝手に動いちまった。まあ、マグレというか、たまたま幸運だったというか、あんま気にしないでくれ、なっ! 柔道部主将! あっはっはっは!」
思いやりもへったくれもない、軽〜い言葉に、柔道部主将のメンツは大潰れ、顔が赤くなったり青くなったりしたあげく、
炎華がその場に割って入り、
「竜破、私と闘いなさい。あなたのその腐った根性を叩き直してあげるわ」
竜破が驚き、
「おいおい冗談じゃないぜ、俺が女の子と、しかも、美少女名探偵☆炎華ちゃん相手に、闘えるわけないだろう」
炎華が片眉をつりあげ、
「それじゃ素直に私に投げられるのね」
炎華が構えた途端、
竜破が、
「えっ!?」
と、間抜け極まりない声をあげると、そのまま受け身も取れずに畳に叩きつけられていた。もしも、床が畳でなく、硬いコンクリートだったら、複雑骨折は間違いないだろう。
竜破が、
「あ痛たたたっ!? なっ、何だ!? 今の技はっ!? バリツの受け身も取れないなんて! ありえね〜っ!」
炎華が問い返す。
「バリツ? ホームズの格闘技の事かしら?」
竜破がかぶりを振り、
「いや、何でもない、バリッと受け身が取れなかった。って言いたかっただけだ」
炎華が嘆息し、
「それて? 反省したのかしら?」
竜破がニヤリと笑い、
「したした。まったく、炎華ちゃんにゃ敵わねえな。二度も足を踏んづけられるわけだ」
竜破は過去に神隠山伝説殺人事件で炎華と出会った頃、二度ほど足を踏んづけられている。
炎華が、
「お望みなら、もう一度、踏んづけてあげようかしら?」
竜破が後ずさり、
「冗談きついぜ、炎華ちゃん!」
言いながら苦笑いする竜破だった。




