☆55☆
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炎華は冷めた表情で、
「デウス・エクス・マキナ。
それは、これから登場するわ。
すべての謎は、解かれるためにあるのよ、秋菜」
秋菜が黙り込む。
デウス・エクス・マキナとは、
機械仕掛けの神様、
という意味で、
お芝居などで、
悲劇的で絶望的な状況を、
無理矢理ハッピーエンドにする。
という、かなり無茶な神様の事である。
炎華が、
「パーティで、
秋菜はコーヒーを春海に持って行ったわね。
カップは偶然、最後に残った物。
砂糖は他の部員も使っている。
コーヒーと砂糖、お菓子を、お盆に乗せて、両手で持っていった。つまり、
秋菜の両手は完全にふさがっていた」
秋菜がにこやかに、
「にもかかわらず、コーヒーには毒が入っていた。不思議よね〜。どうやって入れたのかしら? ウフフ」
炎華は動じない。
「簡単な事よ」
秋菜が、
「そうかしら?」
炎華が、
「あらかじめ毒を《付けて》おけばいいのよ」
秋菜の眉がピクリとあがる。
炎華が、
「毒は春海の絵筆の柄につけたのよ。
違うかしら?
春海は、
絵を描くのに夢中になると、
絵筆の《柄》でコーヒーをかき回すクセがあるわ。
秋菜はそれを利用したのよ」
秋菜の瞳が見開かれる。
炎華が続ける。
「秋菜は春海の絵、イーゼル、道具を用意する時に、
あらかじめ毒を塗っておいた、
自分の絵筆とすり替えたのよ。
春海はそれに気づかず、
絵を書き始めた。
コーヒーを渡されれば、砂糖を入れて、
いつも通り、絵筆の《柄》でコーヒーをかき回すわ」
秋菜が最後の抵抗を試みる。
「毒、毒って言うけど、どんな毒なのよ?
そう簡単に、毒なんて手に入るわけないでしょ!」
語尾が震える。
炎華は容赦なく、
「それを私に聞くのは、
お角違いではなくて?
秋菜の家は、ウナギ屋なのでしょう。
ウナギの血に毒が含まれている事は、
当然、知っているはずでしょ」




