☆50☆
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美術部に入ると、
ズラリと展覧会に出品する絵が並んでいた。
が、春海と秋菜だけは、今だに絵を描いていた。
春海は地獄で苦しむ人々の絵を描いては消し、描いては消し、を繰り返していた。
どうやら地獄の描写が気に入らないらしい。
秋菜は相変わらず春海の贋作なので、
春海の絵が仕上がらないと当然、秋菜の贋作も仕上がらない。
冬子がため息をつきながら、
「秋菜にオリジナルを描くように言ったんだけど、結局また贋作で、春海が遅れれば同じように秋菜も遅れるのよね」
七美が、
「でも、完成している絵もあるので、二人を除いて完成パーティをしています」
巡が、
「と言っても、ささやかなパーティだけどね」
ちょっとした飾り付け、大量のお菓子と飲み物を指し示す。
秋菜が贋作を中断してパーティに加わる。
「お菓子は部費で買ってきたのよ」
冬子が、
「またかい! さすがに、もう律華先生を誤魔化す事も出来ないわよ。
どうすんのよ、お菓子ばっかり買ってきて!」
秋菜が、
「まあまあ、落ち着いて、コーヒーでも飲んでよ。はい、どうぞ」
カップにインスタントコーヒーを入れ、素早くポットからお湯を注ぐ。
冬子が砂糖とミルクを入れてスプーンでかきまわした。
「仕方ないわね。その事は、またあとで考えるわ」
なし崩し的にパーティが始まり、それぞれカップに飲み物を注ぐ。
秋菜が思い出したように、
「そうだ、春海ちゃんにも」
残っていたカップを手に取り、手早くコーヒーを作ると、お盆に乗せる。
砂糖の小瓶も添えて運ぼうとするが、
「そうだ。お菓子も持っていかないと」
戻ってスナックの袋をお盆に乗せると、
春海の所まで運んだ。
ピノの件もあるし、
また、春海の怒りを買わないよう、
秋菜なりに気をつけているようである。




