☆48☆
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昼休み、
職員室で律華がピザトーストを食べていた。
律華が、
「ピザトーストはソースを塗って、具を乗っけて、焼けばいいってもんじゃないぞ。
実はな、美味しく食べる重要な秘訣があるんだ。
まず、パンにマーガリンを塗る。
その上からピザソースをかける。
その上にソーセージを薄く切って乗せ、最後にとろけるチーズを千切って乗せる。
あとはトーストを硬めに焼く。つまり、ちょっと焦げ目がつくぐらいがベストだな。
サクサクのソーセージ・ピザトーストの出来上がりだ」
律華はピザトーストにかぶりつき、美味しそうに食べる。
口をモグモグさせながら、
「それはともかく、また事件が起きたそうだな。なんでも春海の絵が無くなったとか、何とか」
炎華が、
「田中の仕業だったわ。彼は春海の大ファンなのよ」
律華が、
「なのに、何で絵を隠したんだ?」
竜破が、
「複雑なファン心理って奴ですね」
炎華が、
「切り裂き事件があったあと、田中は自分が春海の絵を守らなければいけない。
と、かたくなに思い込んだのよ。
そのために、田中は昼休みにOBの絵を整理すると言って、あらかじめ控室の絵を抜いておいたの。
自分が隠れるスペースを、あらかじめ作っておいたのね。
放課後、美術室に春海と二人だけになったタイミングで田中は控室に入ると、こっそりOBの絵の下に隠れた」
律華が、
「春海は、それに気づかなかったのか?」
竜破が、
「あいつは天才肌で、一度自分の絵の世界に入ると、他の事が目に入らなくなるんですよ。
田中は小柄で目立たない生徒だから、なおさらです」
炎華が、
「竜破の言う通りよ。
田中はまんまと控室に隠れて、それを知らずに、春海は美術室に鍵を掛けて帰って行った。
そのあと、
田中は春海の絵を守ろうと、朝まで頑張ったけど、
途中で春海の絵が、どうしても欲しくなった。
でも、その時には、もう、すでに朝になっていた。
そして、美術教師が美術室に入ってきたのよ。
驚いた田中は、とっさに絵を抱えて、
控室のOBの絵の下に隠れてた。というわけよ」
律華が、
「春海の絵を抱えてOBの絵の下に隠れていたなんてな。
しかし、美術控室は、冬子と秋菜が探したはずなんだが、どうなってんだ?」
炎華がクスリと笑い、
「秋菜は昨日、春海にこっぴとく説教されて、癪にさわってたんじゃないかしら?
秋菜本人が言ってるほど、真面目に探してはいなかったのよ。
まさか、OBの絵の下に田中が隠れてるとは、夢にも思わなかったでしょうしね」
律華が、
「それで、田中はどうしたんだ?」
炎華が、
「こっそり帰してあげたわ。
今頃は、家でおとなしく反省してるんじゃないかしら?」
律華が、
「お咎めなし。か、ふ〜ん」
炎華が、
「魔が差したのよ。春海の絵には、それだけ人を引きつける魔力がある、という事よ。
田中も最初は春海の絵を守ろうとしていたのだし。
ただ、いつの間にか、春海の絵に魅入られて、絵が欲しくなったのよね」
竜破がカラカラと笑い、
「美術教師が来た時に、素直にゴメンナサイと言って出てくれば、こんな大騒ぎにはならなかったのにな」
炎華が、
「だから、魔が差したって、言ってるのよ」
律華が、
「まっ、実害はなかったわけだし、今回は炎華に免じて許してやるさ。炎華にはお礼にこれをやろう」
と言って、ピザトーストを渡す。
炎華が千切って我輩によこした切れ端をモグモグと食べ、
「ニャニュイニャ〜!」
美味いな〜!
と、我輩は律華の作ったピザトーストを絶賛した。
竜破が、
「律華先生、俺のぶんは?」
スパーンッ!
律華がどこから取り出したのか?
ハリセンで竜破の頭をひっぱたく。
「貴様は何もやっとらんだろうが!」




