☆35☆
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秋菜が美術室へ入るなり絶叫する。
「何で!? あたしの絵が! こんな事になってんのよ〜〜〜っ!!!」
炎華が、
「秋菜は昨日、控室で春海の絵と秋菜の贋作を、入れ替えたんじゃないかしら? こうなったのは、それが原因よ」
秋菜が、
「ど、どういう事よ? 昨日は確かに、
あたしが春海の絵と贋作をすり変えたわ。
春海がそれに気がつかなかったら、
あたしの贋作も負けてないって、
事になるじゃない。
本人が気づかないほどなら。
でも、それで、何で絵が切り裂かれるのよ?」
炎華が、
「犯人は、春海の絵だと思って贋作と知らずに絵を切り刻んだのよ。
恐らく、犯行のさい、照明をつけずに、スマホかペンライトで、
控室の春海の絵を探したんでしょうね」
冬子が、
「秋菜の自業自得ね。
変な気を起こすから痛い目にあうのよ。でも、秋菜の贋作もたまには役に立つ時があるわね。
少なくとも、春海の新作は被害を免れたんだから」
秋菜が涙目で、
「ひっ、ひどいよ〜冬ちゃん! そんな役の立ち方は嫌だよ〜〜〜!」
冬子が、
「オリジナルを描きなさいよ、オリジナルを。前から口を酸っぱくして言ってるでしょ。そうすれば、こんな災難にあう事はなかったのよ」
秋菜が、
「それが出来たら苦労しないよう〜」
口を尖らせる。
炎華が、
「密室のトリックは単純な手品だけど、証拠がないから、どうにもならないわね」
竜破が、
「はえ〜な! もうトリックが分かったのかよ! 犯人はどうやって美術室を密室にしたんだ?」
炎華が首を振り、
「今は、まだ話す時じゃないわね。でも、ヒントだけは教えてあげるわ。フォーチュンクッキーと同じ手品よ」
竜破が訝しげに、
「フォーチュンクッキーねえ? う〜ん? さっぱり分からん」
そこに、七美と小柄な男子がやってきた。
冬子が、
「春海は来なかったの?」
七美が昨日も着けていた手袋を外しながら、
「破れた絵を見てもしょうがないって、言って、来ませんでした」
冬子が、
「しょうがないわね。まあ、いいわ。とにかく、朝、私が入ったら、この有様だったのよ。七美と田中は何か知らない?」
七美が首をひねり、
「さあ? 昨日は部活が終わったあと、すぐに帰りましたから」
冬子が、
「春海はどうなのかな? あとで聞いてみるしかないか? 田中はこんな事をするような奴に、何か心当たりはないの?」
田中と呼ばれた小柄な男子は口をモグモグさせながら、
「さ、さあ、思いあたりません。
でも、春海さんは昨日、まっすぐ自宅に帰って行きましたよ。その後、部屋の照明が消える、午後十一時まで、一歩も外には出ていません」
ストーカーのように断言した。




