☆32☆
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七美が、
「あのポストに鍵を入れるんです」
職員室の扉の横に、机と、その上にポストが置いてある。ポストの上に差し込み口、下は取り出し口になっている。
取り出し口のフタには、
鍵が掛かっていた。
七美が、
「上から鍵を入れて、夜に先生がポストごと回収して、翌朝、下のフタを開けて、鍵を職員室に並べるんです」
竜破が、
「それを、必要に応じて、先生が使うってわけだな」
「その通りです」
七美がポストに鍵を入れる。
中でカチャンと鍵の触れ合う音がした。
巡が、
「参考になったわ。次に私が居残りした時は、ポストに鍵を入れて、帰ればいいってわけね」
七美が、
「そうです〜」
と相づちを打つ。
炎華が、
「ポストをひっくり返して、鍵を盗まれるとかは、ないのかしら?」
七美が、
「それは大丈夫です。
ポストはワイヤーで厳重に壁に取り付けられているのです。
ワイヤーを切断しない限り、逆さにする事は出来ませんし、差し入れ口は女の子の手も入らないぐらい狭いんです。
鍵を盗もうとしても、手も足も出ませんよ」
竜破が、
「ワイヤーを切れば簡単に取れるんだがな」
炎華が、
「そこまでやる生徒は、あるいは、先生はいないと思うわ。
学園内に貴重品があるとは思えないし」
七美が、
「貴重品ならあるじゃないですか。
春海の絵は描きかけでも、
安く見積もって百万円以上はしますよ」
竜破が、
「マジか! それだとワイヤーで切断する事も、つい考えちまうな、あ痛ああああっ!」
炎華が思い切り竜破の足を蹴ったのは、言うまでもない事である。




