☆31☆
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春海の父は古い人間で、
女は結婚して子供を産んで育てるのが一番の幸せ。
と考え春海が十三歳の時に、
大病院の息子との婚約を進め、
春海の高校卒業とともに結婚。
という、春海の意思を無視した政略結婚を強制しようとした。が、
春海は猛然と反発。
父の病院から劇薬を盗み服毒自殺を図った。
一命は取り留めたものの、
婚約は破棄せざるを得なかった。
結婚話は立ち消えとなったが、
春海が絵を描く事だけは、
今も執拗に反対していた。
「そのせいで、春海は学校に遅くまで残って描いたり、時には、外泊して描き続けた事も度々あるんです。
最初は大騒ぎした両親も、
今は諦めて、何も言わないそうです」
巡が、
「どこに泊まってんのよ。女の子が朝まで?」
七美が、
「だいたいマンガ喫茶です。父親がマンガ喫茶に押しかけた時もあったそうですが、今はほぼ放置状態です」
炎華が、
「それはともかく、春海は、よく毒を盗み出せたわね」
竜破もうなずき、
「普通は無理だよな。ずさんな管理だったのかな?」
七美が首を振り、
「違うんです。看護婦さんは関係ないんです。春海はその時、父親が持っていた病院のマスターキーを盗んで、劇薬の保管庫にこっそり入ったんです」
竜破が、
「たまげた女だな! 優秀な芸術家ってのは、何するか分かんねーな!」
炎華が、
「ゴッホは自分の耳を切ったあと、自殺したというし」
そうこうするうちに、一行は職員室に着いた。




