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☆28☆
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竜破が、
「さて、何を描こうかな? 石膏像でも静物でも風景でも、何でもいいんだが。ん、どうしたんだ炎華? 何で自分で自分を指差してんだ?」
炎華が不満そうに、
「この仕草を見て何も分からないなら、竜破はデッサンの前に、審美眼をもう一度、養い直さないと駄目ね」
巡が、
「竜破の美的感覚は狂ってるのよ」
竜破がホールドアップし、
「わかった、わかった。冗談だよ。しかし、俺に炎華みたいな美少女名探偵が描けるかな? ま、やるだけやってみるが」
と言って描き始めて一時間が経った。
巡がそれを覗き込み、
「悪くないけど、変だわね」
竜破が、
「うっ!」
我輩も絵を見て、
「ニョオー!(ノー!)」
と非難の鳴き声をあげた。
炎華は眉をひそめて無言で見つめる。
ある意味、
文句を言われるより辛い沈黙でる。
耐えかねた竜破が、
「何か言ってくれよ〜」
と炎華に泣きつく。
炎華が淡々と、
「そうね。とりあえず、竜破の努力は認めるわ」
竜破が言いわけがましく、
「特徴が、美男美女ってのはさ〜。いまいち特徴が無いんだよ。だから描きずらいんだよ〜」
そこへ、美術室の入口から声がかかる。
見ると二人の少女が入ってくる。
「あら、お客さんなの? 珍しいわね」
冬子がそう言った。




