☆21☆
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職員室に戻った炎華が律華に告げる。
「事件の犯人もトリックも、すべて分かったわ」
律華が目を見開き、
「誰が犯人なんだ?」
と詰め寄るのを抑え、
「順に話していくわ。まず、容疑者は二人に絞れるわ」
律華が、
「誰と誰だ?」
炎華が、
「あの盗撮写真を見ればすぐに分かるけど。手前の左右に写っている二人よ」
竜破が、
「如月副部長と小月美久か?」
炎華がうなづき、
「竜破も察しているでしょうけど、あの倉庫がわりに使っていたロッカーは、針穴写真機として使われたのよ」
律華が、
「まてまて、針穴写真機って何だ?」
炎華がその原理を簡単に教える。
律華が感心したように、
「ほほお〜。そんな不思議な写真があるとは驚きだな」
炎華が、
「それで、そのロッカーの前に立っていないと、犯行は不可能なのよ。
犯人は事件前に、
ロッカーの扉の、
ちょうど名札の裏側と、
空白の名札に穴を空けておく。
もちろん、穴の位置がピッタリ重なるようにしてね。
この名札をスライドさせる事で、
光を取り込む針穴写真のシャッターがわりにするの。
さらに、ロッカー内の一番上に、
針穴からの光が当たるよう、
ダンボール箱を立てて置く。
その箱は前後させる事で、
ピントを調節する事が出来ようにする。
箱の光の当たる場所には、
印画紙をテープで貼り付けておく。
光が当たると、
上下逆さまにロッカーの外の景色が、
印画紙に焼き付けられるわ。
箱に残っていた四角いテープのあとは、印画紙を剥がしたあとね。
事件当日、
犯人は、
部員を倉庫がわりのロッカーの前に並べて、
二十分ほど、ジッとしているようにする。
これは、小月美久の説教があったから、
難なく実現したわ。
お説教中に動いたり、
喋ったりすると、
お説教がさらに長くなるから、
誰も動かなかった。
こうして、二十分の露出時間が終わったあと、
名札をズラして光を遮断する。
あとは印画紙の回収と、
針穴写真の証拠を消すため、
穴の空いた名札を、
普通の名札と入れ替えるだけ」
律華が、
「今の話だけじゃ、麗奈か小月か、サッパリわからないな」
炎華が、
「話は最後まで聞くものよ。
犯人は、
照明が消えた状態で、
素早く部室に入って、
素早く出た麗奈よ」
「まさかっ!」
律華が叫ぶ。
炎華が、
「麗奈は雑誌を忘れた。
と言って照明をつけないで部室に入ったわ。
それは、印画紙に感光させないため。
そうして麗奈は印画紙を回収した。
そのさい、一緒に名札も回収したんだけど」
律華が、
「何で名札を回収するんだ?」
竜破が、
「名札に麗奈の指紋が付いてるからですよ。
針穴写真を撮影したのが、
麗奈なら、
指紋から、自分が犯人だとバレるじゃないですか」
律華が、
「なるほど」
炎華が、
「麗奈は回収するさい、
印画紙と名札を雑誌にはさんだの。
ところが、名札を床に落ちて、
しかも、麗奈はそれに気づかなかった。
翌朝、部長が名札を見つけて、
ロッカーの上に置いた」
炎華がビニール袋に入った名札を律華に差し出す。
「この穴の空いた名札には、
如月の指紋と、
もう一つ、
名札を操作した、
麗奈の指紋がついてるはずよ」
律華が、
「もし、本当に麗奈の指紋がついていたら、麗奈が犯人だという、動かぬ証拠になるな」
炎華がうなづくと、
律華が名札をつかんで立ち上がる。
竜破が、
「どうするんですか? 律華先生?」
律華が、
「決まってるさ。
二度とこんな事件を起こさないよう、
お尻ペンペンしてくるんだよっ!!」
そう言い切って、
律華は颯爽と職員室を出て行った。




