☆20☆
☆20☆
炎華がロッカーの上にあった名札を見つける。
名前の書いてない名札である。
名札の中央に穴が空いていた。
炎華は白手袋をつけ、指紋をつけないように名札を拾うい、
先程の、穴の空いたロッカーの名札と入れ替える。
ちなみに、そちらの名札は同じ空白だが、穴は空いていない。
炎華が、
「名札の穴はロッカーの穴とピッタリ合うわね」
その後、また入れ替え、
穴の空いた名札をビニール袋に入れた。
炎華が、
「誰が、この穴の空いた名札を、ロッカーの上に置いたのかしら?」
と尋ねると、如月部長がニコやかに、
「あ、それ、あたしが乗せたのよ。
確か、事件の翌日だったかしら。
たまたま、部室に忘れ物をしたのを思い出して、律華先生に頼んで鍵を借りたの。
その時は、あたしも律華先生も盗撮事件の事を知らなかったの。
それで、部室に入ったら、床に名札が落ちていたから、拾ってロッカーの上に置いといたの。
そのあと、盗撮事件が問題になって、
その日から警察が来たりして、バレー部は休止になったの」
あっけらかんと無邪気に答える如月部長であった。
炎華が、
「盗撮された日、最後に部屋を出たのは誰かしら?」
如月部長が首をひねり、
「鍵を掛けたのは間違いなく、あたしだけど」
麗奈が、
「その日、最後に出たのは私です。その日に買った雑誌を持ち出すのを、すっかり忘れていて、慌てて部室に取りに戻ったんです」
如月部長がポンと手を鳴らし、
「そういえば、そうだったわね。そうよ、最後に麗奈が入ったわ」
炎華が、
「その時に、部室内の照明はついていたのかしら? それとも消えていたのかしら
? どっち?」
如月部長が、
「消えてたわ。だって、麗奈はすぐ戻ってきたもの。照明をつける必要は無かったんじゃない」
炎華がニッコリと微笑む。
「ありがとう如月。これで、全ての謎が解けたわ」
竜破が、
「だとさ。盗撮事件で身に覚えのある奴は、さっさと自首する事をオススメするぜ」
が、誰一人名乗ろうとしない。
炎華がイライラしながら、
「竜破。私たちは事件解決の手助けをするだけよ。ただ推理するだけ。その結果、どうなるかは、私たちには関係のないことよ」
炎華が小森を手招きすると小声で、
「律華のところに行きましょう。そこで事件の真相を話すわ」
小森がうなずき、
「如月部長、麗奈副部長、炎華ちゃんの捜査は一応終わったそうです」
如月部長が顔を輝かせ、
「それで? どうなの? 犯人はわかったの?」
炎華が冷徹に、
「ノーコメントよ今は何も話せないわ」
麗奈が皮肉げに、
「君みたいな子供には、今回はちょっと荷が重すぎたようだね」
炎華が微笑みを浮かべ、
「詳しい事は律華に話すから、あとは律華の指示に従いなさいね」
そう言い終わるとバレー部をあとにした。
竜破が怪訝そうに、
「真相をズバっと披露すりゃいいのに。何で手心を加えたんだい? 炎華らしくないな」
炎華が皮肉げに、
「竜破はたんに律華に会うのが面倒臭いだけでしょ。我がまま言ってないで、さっさと行くわよ」
炎華にせかされ、竜破もイヤイヤながら歩き出した。




