☆17☆
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炎華がバレー部の部室に入ると、
「スマホはどうしていたのかしら?」
小森が、
「あの机の上に集めて置いておきました。もちろん、電源は切っています。それで一応、部長が管理している、という事になるんです」
机の上には雑誌やプリントが乗っていた。
竜破が、
「なるほどね。ところで、小型カメラとかは撤去済みなんだろうな」
小森が、
「もちろんです! 部室の隅から隅まで探しました。ですから、盗撮出来るカメラのたぐいはないはずです」
炎華が、
「ボディチェックもしてるのよね」
小森が、
「着替えをしながら一応やってます。持ち込むスキはないと思います」
扉を入ると突き当りに学習机があって、その上に窓がある。
左右の壁にはロッカーが並ぶ。
それぞれのロッカーにはスライド式の名札が差し込んである。
炎華が中央のロッカーに近づき、
「このロッカーだけ名札に名前がないわね」
空白の名札である。
小森が、
「そのロッカーは倉庫がわりに使ってるんです。開けて見ますか?」
炎華がうなずくと、小森がロッカーを開ける。
中は複数の箱とプリント、雑誌のバックナンバーなどが山積みになっている。
炎華はロッカーの中身ではなく、
扉の裏、
正確には、先程の空白の名札の裏側辺りを見て、
「見て、ロッカーに小さな穴が空いているわ。ちょうど空白の名札の裏側よ」
竜破が、
「確かに、空いているな。でも、それが事件と何か関係があるのかい?」
炎華が唇を尖らせ、
「それを、これから調べるのよ」
すると背後、扉の辺りから宝塚の男役のようなウィスパーボイスの美声が響く。
「余計な事を調べないでもらいたいな。
ただでさえ、活動休止になっているゆだ。
これ以上、バレー部を引っかき回さないでもらいたいね」
見るとボーイッシュな娘が扉にもたれかかり立っていた。
端正な顔立ちで、美声から察した通り、宝塚の麗人を思わせる美しい風貌である。
炎華が、
「律華の許可は取ってあるわ」
麗人が、
「あいつは仮の顧問だろ。部室の鍵の管理をしてるだけだ。バレー部の事なんか何も知りはしないさ」
苛立ちからウィスパーボイスが甲高くなる。
炎華が、
「バレーを知ろうが知るまいが、そんな事は関係ないわ。
鍵をにぎっでいるのは律華なのだから、あなたにどうこう言われる筋合いはないのよ」
冷たく言い放つ。
麗人が
「言ってくれるね」
唇が皮肉げに歪む。
麗人の背後から威厳のある声が響く。
「まあまあ、麗奈。いいじゃない、少しぐらい部室を覗かれたって、減るもんじゃないでしょ?」
麗奈が、
「でも如月部長」
如月部長がやんわりと、
「それとも、調べられたら何か、困る事でもあるのかな?」
麗奈が、
「う、そ、そんな事はありませんが」
如月部長が、
「ならいいじゃない。この娘のやりたいように、やらせましょうよ。ね、美少女名探偵さん」
如月部長はフワフワ広がる栗色の髪を腰まで伸ばしてる。
ファションモデルになったほうが良いのでは?
という可愛らしい顔立ちをしている。
炎華が、
「なら遠慮なく調べさせてもらうわ」
如月部長が、
「どうぞどうぞ、気のすむまでやっていいわよ。何か出るとは思えないけどね」
自信満々のモデル部長であった。




