☆16☆
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「誰か立っているわね」
炎華がつぶやく。
女子バレー部の部室。
その扉の前に一人の少女が立ち、こちらに気づいたようだ。
少女は茶髪を黄色いリボンで結い、ポニーテールにしている。
整った顔立ち、鼻筋がすっきりと通り、大きな青い瞳に星が煌めく。
小森が、
「あっ、あの人が小月美久さんです」
少女が小森を、
キッ!
と睨みつけ、
「あたしをその名で呼ばないで! 今のあたしは負け犬よ! 負け犬小月と呼んでちょうだい!」
小森が動揺しながら、いや、我輩や竜破でさえ、少なからず動揺した。
揺らがない冷静さを保っているのは炎華だけである。
「えう、小月さんは負け犬じゃないですよぅ」
小森が反論するも、小月は鼻で笑い、自虐的な笑みを浮かべ、
「気休めはよしなさい! 盗撮事件のせいで、バレー部は活動休止になった。と、あなたは軽く考えてるかもしれないわね! だけど、そうじゃないのよ! その前から、あたしたちはダメダメだったのよ! 思い出してみなさい! 練習試合で一度だって、あたしたちが勝てた事があったかしら!?」
小森が拳をキュッと握り、
「そ、それは、その」
小月美久が噛み付くように、
「答えられないようね! だって、勝ったためしがないんですもの。何も言えないはずよ。どんなに頑張っても勝てない。だから、あたしは負け犬小月美久なのよ!」
うわ〜〜〜ん!
と泣きながら、その場から駆け出す小月美久であった。




