☆15☆
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職員室にカナリヤのように澄んだ美しい炎華の声が響く。
「律華先生。バレー部の部室の鍵を借りたいのだけど、いいかしら?」
ズルズルズル〜〜〜。
と、スーパーでも最も安いインスタントラーメン、明星の一杯満足を飲み込むと、律華が、
「え〜と?」
目をキョロキョロさせて、状況を確認する。
どうやら自分がバレー部顧問だという事を忘れているらしい。
小森が、
「律華先生、活動休止になっているバレー部の部室の鍵は、顧問の先生が厳重に管理しているんでしょ?」
律華が、
「ああ! その事ね! 何かと思ったわ〜」
残った汁を全部飲み込む律華。
律華が一息つくと、
「んで、部室に入ってどうすんだ? 何かするのか?」
竜破が、
「盗撮事件の現場検証ですよ。それ以外に何があるんですか?」
律華が、
「それが〜あるんだな〜」
小森が、
「な、何でしょうか? そ、それは?」
律華が、
「なにしろ、事件は今回が始めてじゃないじゃん。鍵の貸し出しに関しては、エラく厳しくなってんだよ」
竜破が、
「前回の事件って何なんですか?」
小森が、
「えっ! りゅ、竜破さん、し、知らないんですか!?」
竜破が、
「長期入院してたんだよ。その間の事件は知らん!」
炎華が、
「今年の初めに起きた、バスケ部顧問による盗撮事件よ。
バスケ部だけじゃないわ。
校内至るところ、三十箇所ぐらいに小型カメラを設置していたのよ」
律華が、
「そりゃ大変な騒ぎだったんだぞ。
マスコミがわんさかやって来てな。
校長も教頭も謝罪で大わらわ。しかも、その後もデータを共有していた教師が三十人ぐらい逮捕されてな。
国会でも取り上げられる大問題になったんだよ」
炎華がニコやかに、
「時の政権はその時、選挙で大敗したから、それどころじゃなかったようだけれどもね」
律華が、
「ともかく、それから盗聴器対策として持ち物検査が始まったんだよ。女子の施設に入るさいは、ぶっちゃけ、スマホはもとより、電子機器のたぐいは全部、調べる事になった。と、いうことで」
律華が青白い不健康で華奢な手を差し出す。
「今言った物を私に渡せ。それと引き換えに部室の鍵をやる」
炎華も小森も素直に従った。
竜破だけはマジかよ〜。
と不満タラタラだった。




