☆12☆
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ホワイトチョコだった。
炎華が、
「そのホワイトチョコを使ったのはショートボブの部員だけかしら?」
軽食部の面々が顔を見合わせ、うなずく。
粕谷副部長が、
「他の者は使ってないようですね。それが、どうしたと言うのですか? 何か問題でもあるのですか?」
炎華が、
「私がホワイトチョコを見た時、ショートボブの部員は、それを引き伸ばしていたのよ」
粕谷副部長が、
「それが何なのですか? フォーチュンクッキーの消失と、何か関係があるとでも言うのですか? 伸ばしたあと、食べやすい大きさに切ったんじゃないですか?」
太田部長が、
「まあまあ、粕谷副部長。とりあえず美少女名探偵☆炎華ちゃんの推理を最後まで拝聴しましょう。質問はその後でも遅くないわ」
粕谷副部長が、
「わかりました。続けてください。もう、茶々は入れません」
炎華がうなずき、
「ホワイトチョコを切ったのは間違いないわ。ただし、切ったのは食べやすい大きさにするのではなく、占いの用紙の大きさに切ったのよ」
竜破が、
「なるほど! ダミーってわけだ! こりゃ俺もしてやられたな!」
炎華が、
「そのダミーにチョコで占いの文言を書き込むと。パッと見は占いの用紙と見分けがつかなくなるわ。それを、あらかじめ手の内に隠し持っておく。本物の占いの用紙を受け取ったらーー」
今度は太田部長が、
「ちょっと待って、酒巻ちゃんが占いの用紙に当たったのは、くじ引きで偶然、当ったのよ。そんな、当たるか当たらないか、わからないのに。わざわざ、そんなダミーを作るかしら? それに、彼女がダミーを入れたという証拠はあるの?」
鋭い質問である。
竜破が、
「クッキーを焼いたら、紙に見立てた薄っぺらいチョコなんか、簡単に溶けちまううからな」
粕谷副部長が、
「なら、証拠は無い。という事ですね」
炎華が動じた様子もなく、
「彼女は、もう一つの証拠を処分する必要があったのよ」
竜破がすかさず、
「すり替えた本物の占いの紙か!」
炎華の視線がオーブンへと向き、
「彼女が使ったオーブンはーー」
左から四番目である。
竜破が、
「四つめだな」
どうやら竜破にも多少の記憶力があるようである。
炎華がそのオーブンに近づく、
酒巻に向かって、
「何か、言う事はないかしら?」
酒巻は無言で炎華を睨む。
炎華がオーブンを開け、中から焼け焦げた占いの紙と、同サイズの燃えカスを慎重に取り出す。
燃えカスをジッと見つめ、
「文字がまだ、かすかだけど読めるわ。読んであげましょうか、
コノ、クジ、ニ
アタッ、タ、モノーー」
「やめてください! もう、いいでしょう! そうです! 私がやりました! 私が犯人です! 他に言う事はありません!」
ボブカットを震わせ酒巻が絶叫した。
ドングリまなこに涙をためる。
太田部長が、
「何でこんな事をしたの?」
酒巻が、
「だって、悔やしいじゃないですか! 突然、美少女が入ってきて、フォーチュンクッキーを奪われたら、私たちはフォーチュンクッキーの伝説に、みんなすがりついているのに!」
粕谷副部長が、
「たかが占いじゃないですか。そこまで気にする必要があるのでしょうか?」
酒巻が、
「だって占いに当った人は、みんなその通り幸せになったって噂があって、だから、だから、うう〜」
酒巻は涙と鼻水で、もはや話すどころではなさそうである。
炎華が、
「そろそろ、お暇するわ。クッキー、美味しかったわ。ありがとう」
竜破が皮肉たっぷりに、
「後味は最悪だったがな。って痛ああああっ!」
炎華が竜破の足を蹴っ飛ばしたのは言うまでもない。
炎華、竜破、我輩の二人と一匹が廊下に出て歩き始めると、
調理実習室から部員が一人出てきて、
「あ! あのっ! す、すいません! バレー部の問題を、か、解決して頂けないでしょうか!」
竜破が、
「お前さん、軽食部じゃないのか?」
ホッペタがリンゴのように赤いリンゴ少女は、
「あの、あたし軽食部とバレー部を掛け持ちしてるんです。美少女名探偵☆炎華ちゃんの推理力を見込んで、ぜひ解決してらいたい事件があるんです。力を貸して頂けないでしょうか?」
炎華が、
「いいわよ。どんな事件なのかしら?」
こうして新たな事件へと飛び込む事になる。




