第1話☆1☆
第一話
〜針穴写真〜
☆1☆
ジ〜〜〜〜。
かれこれ十五分であろうか?
我輩と竜破は前衛的で奇妙なポーズのまま、
ジ〜〜〜〜と、その姿勢を維持していた。
季節は梅雨の中休み。
梅雨に入ってから二日は雨が降ったが、その後、十日は雨が降ってない。
すでに梅雨の中休みというよりは、
夏! その物である。
ギラギラ、ギラギラ、
と容赦なく照りつける太陽のもと、
ジ〜〜〜〜と我輩と竜破は同じ姿勢を維持する。
日射病になってもおかしくない、真昼の虹祭学園屋上。
なぜ? 我輩と竜破がこんな決めポーズをしているのか? というと、
「いい加減、撮れてんじゃねーか? そろそろ限界なんだがな、炎華」
竜破が腹話術のように唇を開ける事なく炎華に話しかけた。
有世竜破。
何の取り柄もない、平々凡々とした、ごく普通の高校一年の男子生徒である。
対し、炎華が片眉を不機嫌そうにピクリとあげ、
「一瞬でも動いたら撮り直しよ。ピンボケなんて許さないから」
そう言いながら、我輩と竜破の間に座り、一糸乱れず不動の姿勢を保っている炎華。
炎華は口許に花を当てている。
その花の下で可愛らしい口を開く、
「針穴写真は撮影するのに三十分以上はかかるのよ。変なポーズをするから悪いのよね」
針穴写真とは、
箱に針穴を開けて、
その中に印画紙をセットする。
ピントは距離で合わせ、
シャッターは箱の針穴を、
開閉する事で行う。
超アナログな撮影方法である。
竜破が不服そうに、
「てか、何でこんな記念写真を撮ろうって話になったんだっけ?」
炎華がイライラした口調で、
「もう忘れたのかしら? 以前、事件を解決した時に、また、遊びに来るって言ったでしょう! それで、事件と関係のあった針穴写真機を持ってきたのよ」
竜破が、
「いや、これって、遊びになってないんじゃね。むしろ、拷問じゃね?」
普段なら炎華が竜破の足を踏んづけるパターンだが、撮影中なのでそうもいかず、
炎華が嘆息する。
「仕方ないわね。それじゃ、退屈まぎれに、事件のおさらいでもしようかしら」
竜破が相変わらず腹話術で、
「そう願いたいね。お姫さま。退屈で死にそうだぜ」
炎華が事件を語りだす。
その横で、我輩と竜破はおとなしく耳を傾ける。
我輩は飼い猫である。
名前は、
ユキニャン。
探偵であるゴスロリ少女、
雪獅子炎華の相棒を務め、探偵の真似事をしている、
猫探偵である。




