『マギア王国(暫・定)女王』:ダリア・テレリ・デック・アールヴ
あの武闘大会から一週間
「私が女王だーーーーー!!!」「はい、拍手!!」
「いや、拍手できないよ!?」
「はーい。ユーリくん粛清~!!」
「暴君!!!」
今いるのは、女王の執務室。
ここにいるのはダリアとユーリのみ。他の大臣は所用でいない。
ちなみにユーリは女王権限で大臣になった。
「さて、ユーリ君。今からやるべきことを答えなさい」
「えっと、まずは国民に対して宣言するとか?」
「は~い、フッツー。詰まんないので『断頭台の露になる刑』」
「それ極刑だよね!?」
「まずやることは前王の官僚・幹部・大臣どもの整理!!それが最善」
「あれ?意外と名君?」
「ユーリ君。その言葉の罰として君がすべてやりなさい」
「はぁ!?ダリアは何をやるの?」
「各都市回って、全国民に宣言してくる」
「それ、僕の案!!」
☆
「ふざけるな!!なぜあのような阿婆擦れが女王になるのだ!!」
「なぜ、前王はあのような遺言を残されたのだ!?」
「いや、問題はそこではなかろう。我々が甘かったのも理由の一つだ。前王の遺言なぞ些細な問題でしかないわ」
「やはり、あの阿婆擦れを打倒し前王の栄華を極めつづけるしかない!!」
「だがどうする?理由付けが必要であろう?そして立てる王が必要ではないか」
「理由などいくらでもあろう。それに立てるべき王、いや女王なら既にいるではないか」
「!なるほど。あの方ならこの案にも賛同してくださる上に、あの阿婆擦れを敵視している。」
☆
「私は負けたのか・・・」
彼女の名はソフィア・ヴァンヤール・リヨース・アールヴ。
武闘大会にてダリアに惨敗した前王の娘である。
「私はこれからどうすれば・・・」
「ソフィア様」
「!!何者だ?」
ソフィアは突然聞こえたしわがれた声に臨戦態勢を取り、声の主に問う。
声の主は頭からローブをかぶり、杖を突くエルフ。
その鼻の様子を見るにどうやら老いたエルフのようだ。
「私はただの使い。そう。ただの使い走りでございます」
「その口調は止めろ。私はもはや王族ではない」
「そんなこと、我らの作戦が成功した暁には匙になりますぞ?」
「何?どういうことだ!?」
「では、私についてきてくださいませ。さすれば、そのわけが自ずとわかるでしょう」
ソフィアは瞑目する。
しばしの長考。
「・・・よかろう。私をそこにつれていけ」
「御心のままに」
ソフィアはローブ男についていく。
それがこの国を震撼させることだとも知らずに。