表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

小学1年生が異世界転生したら

作者: ぽい

小学1年生が異世界転生したらどうなるか


異世界転生といえば、中学生高校生または絶望した社会人がターゲットになる。その内容は、知識系差別や特殊能力系差別によって優越感を得るというものである。また、基本的に多くの異性に好かれ、同性の敵を倒すこともある。


ここで、もし中学生高校生のような汚れた願望がなく、社会人のような知識もない無垢な人間

つまり、小学生が異世界転生したら新しく面白いことになるのではないかと考えた。

今回は、小学1年生になったばかりの藍野ひとし君を異世界に転生させてみる。



賛同の天使諸君には相応の仕事と褒美をやる。くれぐれも大天使どもには知らせないように。


ーーーー


桜の散ったある日、藍野ひとしは小学1年生として教室で友達と遊んでいた。

「「さいしょーはグー、じゃーんけーん」」

「「ぽん」」

「やったー俺のかちー」

「ひとしくんつよーい♡」

「くっそーまたまけたぁ」

藍野ひとしのまわりではクラスのこどもたちが騒いでいる。じゃんけんが今のブームなのだろうか、貴重な昼休みだというのにこどもたちは教室で遊んでいる。

「そういえばー、ひとしくん、きょーこセンセイによばれてなかったー?」

「あぁっ、わすれてたっ、ちょっといってくる‼」

今井今日子先生は藍野ひとしの担任である。彼女は初めて小学1年生の担任となったので非常に緊張していた。

(あの子たちの担任になってから1ヶ月がたったけど、まだ油断できないわ。何が起こるかわからないものっ。)

(でも、藍野ひとし君はすごいわぁ。入学初日からクラスの中心なんだもの、さすがはあの親の子なだけあるわー。)

「今日子さん、あなたのクラスはどう?」

「明日香先生!いい子たちですよ。先生のクラスもいい子じゃないですか」

「だよねー、いい子すぎて困るくらい♡、まだ授業前だけど教室に戻ろっと♡」

明日香先生はそう言うと、職員室を出ていった。


(私も特に用事はないし、教室に戻りますかぁ)

今日子先生は机を片付けると職員室を出て自分の教室へ歩いて行った。その道中、藍野ひとしとすれ違うこともなかった。


ーーーー


「…ップ様!」

「…フィリップ!」

「起きてくれ!フィリップ!!」

「うぅん、うるさいなぁ、…おじさん誰?」

「っな!おいっ!先生!どういうことだこれは!」

「…恐らく、記憶喪失にございます。」

藍野ひとしは周りで騒いでいる大人たちよりも、困惑していた。さっきまで学校にいて、先生に呼び出されて、曲がり角で誰かとぶつかって…、そこからの記憶がない。

「ここは、どこ?」

「ここはあなたのお家よ、フィリップ」

自分の独り言に答えてくれた人は、隣で泣いている女性だ。絵本の中から出てきたか思うほど美しい見た目をしているその人は、自分を見つめながら嬉しそうに「よかったわ、フィリップ」とつぶやいていた。

「俺はフィリップじゃ、ない!、です…。」

「なにを言っているのだ!思い出してくれっ!お前はフィリップ。私とお前の隣にいるフェリアの大切な一人息子だっ!」

「ちがうっ!俺は愛野ひとしだ!誘拐ならようきゅうはなんだっ!家に帰してっ、うぅ…お父さんお母さん助けてぇ…。」

「ど、どうしたんだ?フィリップ、なにを言っているのだ?愛野ひとし?…おい先生!どうなってる!」

「…!まさか…あ、ありえません!」

「…なにか知っているのか?教えてくれ」

「フィリップ様は強い衝撃のあと意識不明になりました。おそらくですが、別の魂がフィリップ様の身体に入られたのではないかと…。」

「ならば、フィリップは…どうなったのだ」

「基本的に一つの器には一つの魂しか存在できません。フィリップの身体には今、アイノヒトシという方がおられますから、その、…、…もういないと考えた方が良いでしょう。」

男は先生と呼ばれる人を投げ飛ばした。男の目は赤くはれ、身体は震えている。愛野ひとしは自分の置かれる状況を何一つ把握できていなかったが、男を見ていると更になにも考えられなかった。

「アイノヒトシとかいったな?」

「…うん。」

「お前はこれからフィリップだ。今までのことは忘れろ。」

「なにいってるかわかんないっ!かえしてっ!」

「フェリア、アイノヒトシの世話をしろ、使用人もよこす。」

「わかりました、これからよろしくねアイノヒトシくん」

「おねえさんもなんなのっ?かえして!かーえーしーてっ!」

男と先生はこの部屋から出ていった。愛野ひとしもベッドから出ようとした。だが、フェリアが自分を両手で包み拘束する。


小学1年生の自分でさえ、帰ることができないこの状況を理解するまで、ずっと抱きしめられた。


ーーーー


転生神様


 あなたに賛同する天使です


愛野ひとしの観察レポートを送ります。ところで、今後の相談なのですが、愛野ひとしをより身近で観察するために使用人として近づいてもよろしいでしょうか。愛野ひとしの同級生として潜入し、異世界へ導いたのは私です。どうか、よい返事を待っています。


最下級天使 ミル

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ