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引きこもり

「何でこんな所で暮らさなきゃいけないんだよ!」 

「きっとあんた達のせいよ!」

「そんな高圧的な態度なら、協力しない。」

「あいつ等放置しておくぞ。」

アランとジェームズは彼らを無視をした。彼らはカルラを被差別地域の人間として見下した面接官だ。

「もう一人新入りが来たようね。悔しいだろうけど、社会的信用を失ったあんたら第19区より悲惨なトラッシュシュタットで暮らすしか道は無いの。」

カルラが彼らのもとに近づいた。

「路上生活者を馬鹿にしてるようならその馬鹿げた行動を改めることよ。それが出来ないならトラッシュシュタットですら生き残れないわ。」

ニコラスが近づく。

「あんたらがカルラにした行動は最悪だけど、あんたらがホームレスであることは悪ではない。あんたらがこの状況に嘆きたくなる気持ちはよく分かる。こんな悪趣味な差別地域があることに誰だって嘆くもんだろ。」

「同情でもしてるつもりか?お前らは下級階級として生きて来たかもしれないが、中流階級からこんな最下層のトラッシュシュタットに落ちるなんて絶望そのものだ。」

「そうよ。せっかくあんたら下級階級や最下層の人間はこんな水簿らしい生活平気かもしれないけど、高水準の生活してる私達からするとこんな所でどうポジティブになれって言うのよ。」

3人の新入りホームレスは大声で怒鳴る。

「いくらでも嘆くが良いよ。だけどここで敵を作ったら、あんたらは生き残れない。よく頭を使うんだ。他の奴らはお前らに恨みがあるから簡単に助けやしないけど。俺は悪く言わん。」

野良犬が勢いよくやって来て、目で大人しくなるように合図した。

「この野良犬達見たか?ここには危険生物がたくさんいるんだ。これがここトラッシュシュタットの現状だ。あんたらが孤立すれば、生き残るのは不可能だろうな。地面に転がってる骨がそれを物語っているよ。」

3人はカラス、野良犬、狼などを見てビクビクした。

「こっちに来るな。」

「あそこにいるジェームズって奴と仲良くすることだな。」

3人はこの状況にまだ納得いってなかったが、渋々とニコラスやジェームズの言うことを聞いた。

「あいつ等、反省するのかしら?カルラの話聞く限り、信用性が無いわ。」

ミアがニコラスに言った。

「簡単に反省するわけでは無いが、今までの生き方はここでは通じないことくらいわかるとは思う。」

ニコラスとミアは前より打ち解けていった。

「今日は誰を無職にするつもり?この計画、上手く行く見込みはあるの?」

「やって見ないと分からないだろ。まずは挑戦だ。」

「行き当たりばったりね。」

ニコラスとミアとジェームズはセントラルタウンに向かう。

セントラルタウンとネクストタウンにまたがる公園、ハミルトン中央公園はハミルトン市内で一番大きな公園だ。公園は近隣住人の憩いの場所になっている。

「この公園も久しぶりね。」

「噴水があるぞ。」

彼はミアに水をかける。

「何するのよ!」

仕返しにニコラスに水かけた。

「こんな馬鹿なことすると思ってもいなかった。」

「ずいぶん楽しそうだったけどな。」

ハミルトン中央公園を出ると高級住宅街が広がる。

「ここら辺の養ってくれてた女が住んでたな。」

「よくあんたなんかに貢ごうと思ったね。お金でしか愛が買えないって可哀想な人達ね。」

「そう言う人間を利用して生きて来た。これが俺にとって最善なアイデアだ。」

「私もあんたにヒモさせないように気をつけないといけないわね。」

ニコラスはミアの笑顔を見て微笑んだ。

「キャーー、見て…」

ミアが指差す先には、自宅から飛び降り自殺をしようとしているふくよかな男性がいた。

「そこの君、死のうとしてるのか?何でそんなに死にたいんだよ。」

ニコラスが男性に向かって話す。しかし何も答えない。

「今日は誰かを無職にするどころじゃないわ。あのままだとあの人死んじゃうよ…」

「死んで良い理由なんてどこにも無いんだぞ。死んでも物事は解決してくれない。飛び降りたら、俺が支えてやる。」

「あんたに僕の何が分かるんだよ!何度も死のうと思ったけどびびって死ねなかった。今日は思い切って飛び降りようと思うんだ。珍しく親も家に来ないし。邪魔だから、そこをどけよ!」

「無理だ!自殺する権利は誰にも無いけど、お前のような人間を放置しない権利はある。」

「クソ!余計なお節介なんだよ!」

窓を思い切りしめた。

「あんなにセレブな暮らししてても死にたいと思うんだな。」

彼は青年の部屋の窓にスーパーボールを何度も当てた。

「ニコラス、もうやめなよ!」

「あいつあの調子だぞ。こうでもしないと本当に命をたつかもしれないんだぞ。」

すると青年は窓を開ける。

「何なんだよ。もう構わないでくれ!」

「俺と話してくれたらやめる。これでどうだ?」

「分かったよ。その代わり、二度とこの敷地に来ないでくれ。」

ニコラスとミアは彼の部屋に行く。

「うわ、思ったより汚い。これはセントラルタウンに存在するトラッシュシュタットだな。」

床に少し物が散らかっていた。

「嫌味か?」

「掃除とかはしないのか?ゴミは全て回収してくれるぞ。そのゴミ捨て場に俺達は住んでるんだけどな。」

「あんた、ホームレスなのか?」

「そうだ。ホームレスと引きこもり。珍しい組み合わせだな。」

彼は青ざめている顔だった。

「俺はニコラスだ。隣がミア。名前は何だ?」

「ハンスだ。」

「何でそんなに死にたいんだ。」

「生きてても何も良いことを無いから。」

「よくある生きてたら必ず良いことがあるみたいなことは俺は言わない。」

「よくあるやつね。」

「僕のような無能は社会から必要とされて無いんだよ。何をやっても僕はダメ人間さ。」

ハンスはセントラルタウンの裕福の家庭で生まれたが、どんなに高水準な教育を受けても授業についていけなかった。彼はそれでもたくさん努力した。大学を出て就職すると彼は仕事の要領が悪く、使えないと言われ嫌われていた。本人も頑張っても思うように成果が出せず、会社はクビになり、転職活動も上手くいかず部屋に引きこもるようになった。その間は両親に養ってもらうことになった。

「どうだ?笑えるだろ。こんな能力の無い使い物にならないようなやつは社会からいなくなれば良いんだよ。」

「それは俺達にも言ってるようなセリフだな。まるでここはちょっと環境の良いトラッシュシュタットのようだな。」

「このジュース美味しいわ。初めて飲むわ。あんたも飲みなよ。」

「ここは僕の部屋だ。勝手に冷蔵庫を触るな。」

「良いから、飲みなよ。」

「それは社会がそうなだけで、お前の両親はそんなこと言ってないだろ。少なくとも俺は人を使えるか使えないかだけのフィルターで考える人間じゃない。」

「少なくともうちらはあんたが社会から必要ない存在だとは思わない。それとそんな能力だけで全てを判断する人のために傷つく必要なんてどこにも無いの。そんなこと言う人間のクズの為に命を落とすんじゃなくて、自分のために生きな。」

ミアはジュースを飲んだ。

「気がすんだか?」

「別に。何も変わらないよ。」

少しだけニコラスに心を開く。

「君達は何者なんだ?」

「俺達はトラッシュシュタットに住む。ホームレスだ。と言っても俺は最近ホームレスになったばかりだけどな。最近、社会の闇を見て頭に来て、ハミルトンに住む上流階級や中流階級の奴らを無職にする無職エージェントと言う組織を作ったんだ。ハンスはよく勉強してたから聞くけど、この国に関して知ってる情報はあるか?」

「聞いても役に立つこと無いけど。この国は元々存在してた星だって言うのは知ってる。あとはこの世界には地図に乗ってない島があるかもしれない。」

「地図にのってない島?」

「記憶があやふやだから間違ってるかもしれない。今のは忘れて。あとは近所にあるハミルトン市最大の面積を誇る公園、ハミルトン中央公園は地球人が移動した時から存在した歴史の長い公園だ。」

「何だ。結構色々知ってるじゃん。特技は何?」

「ゲームすることくらい。あとはAI写真で画像を生成するのが好きだ。高いソフトも持ってる。待って、良かったら、今度また会いたい。」

「おお、良いぞ。そう来なくちゃな!」

二人は握手をした。

「ここだと両親も来るから、別の部屋で話そう。」

「他にも部屋があるとか住んでる世界が違うな。」

ハンスと別れて、二人は無職化計画を進めた。

「次のターゲットはあいつよ。」

「行くぞ。」

ターゲットを見つけたものの、ターゲットを尾行しなかった。

「無いことをいかにもターゲットがしたかのように噂を流すんだ。」

「噂流した所で何か変わるのかしら?」

「この前、この国の恐怖政治には限界があるって言ったのを覚えてるか?」

「そんなことも言ってたわね。」

「ホームレスを支援することは処罰の対象になるなら、ターゲットの男がいかにもその行為をしたかのように噂を流すんだ。それで社会的使用を落す作戦だ。」

「噂を流しただけでは不十分よ。証拠になるものが無ければ皆、信じないよ。」

「それならハンスの活躍する時だな!」 

「どうしてそこでハンスが出てくるの?」

「今は取りあえず、トラッシュシュタットに戻るぞ。今度、ハンスと話そう。」

「それなら他のターゲット達も一緒に道連れにしよう。一人無職にしただけで社会機能は麻痺しない。」

ミアが言った。

「アラン、今日は何か変わったことでもあった?」

「一人、無職に出来た。」

「この取り組みがいつまで続くことか。俺は仕方なく付き合ってるから。」

ジェームズはそう言っても協力的だ。

「そこの新入りさん!この紋章何か分かる?生まれつきあるものなの。」

「その言い方やめて、私はカイラよ。そんな紋章はじめて見るわ。」

「俺もそんなの知らないな。」

「今日も手がかりなしか。」

カルラは自分の腕にある紋章の手がかりを探そうとしたが、中々見つからない。

「無職エージェントの活動はただハミルトン市民を無職にするだけが目標じゃない。俺達が知らない国が隠してる闇を暴くための組織でもある。カルラ、調べているうちにその腕の紋章の正体も分かるはずだ。」

「それなら私もあんたの活動に引き続き協力するしかなさそうね。」

「今日はセントラルタウンの人間と仲良くなった。彼は金持ちでも同じように社会から取り残された無職だ。今行ってる作戦のキーマンになりそうだな。」

ハンスはその頃、自分の部屋でAIの画像生成ソフトで遊びながら、ニコラスのことを考えた。

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