変
ここが日本でない事に、守仁は薄々勘付いている。
戦いながらでも、違和感が凄まじいのだ。それを認めたくない感情だけは否定を続けるが、理性は「ここが異世界である」と認めていた。
唯一、言語関連だけは日本と同じであったため、そこだけ引っかかりはするが、守仁は状況を受け入れた。
「オトコ、オトコ、オトコ……」
「負けられねぇんだよっ。ここで負けたら、アタシは何のために生まれてきたんだい!」
もっとも、受け入れたのは状況だけ。
守仁を拉致しようとする彼女らの要求には、そのままノーと言い続ける。
それとこれとは話が別だ。
交番を求め移動しながらも、戦いを強いられる守仁。
最初は無軌道に襲いかかってきた女たちも、上手くいかない現状に、少しでも対応しようと動きを修正し始めた。
「絶対に単独で挑むんじゃないよ! 他の連中も使いな! 3人以上じゃなきゃ、なんにもならない!」
「高台からの遠距離攻撃班は誤射にヒビって遠慮するなよ! スタングレネードは相打ち覚悟で使え! 投げつければ投げ返される!」
後方に指揮官クラスの者がいて、集団戦に持ち込んでいく。
所属、派閥の間で行われていた牽制のし合いも鳴りを潜め、誰か一人でもいい、とにかく女のプライドに賭けて守仁を押し倒そうとする。
それだけではない。
「“先生”だ! 先生を呼べ!!」
確実に守仁と子作りをするべく、鬼札と成り得る者まで呼び出した。
通常、高い戦闘能力を持つ女性は上級国民になるか、一流のハーレムに所属する。場末の、木っ端ハーレムにはいないものだ。
だが、素行不良などの理由により、普通レベルのハーレムにすら所属できない高戦闘能力者も少数だが存在する。
守仁包囲網は、確実に強く大きくなっていった。