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「ヒーハーー!! コイツはウチらが頂くぜぇ!」

「引っ込んでろ小娘! この子は『孤狼』が美味しくいただくんだよぉ!」


 守仁は弱小コミュニティの人間。

 そう判断した女性たちの動きは素早かった。

 立ちどころに数人が襲いかかり、守仁を確保しようとする。


 彼女たちの中には、縄やテープで拘束して車に連れ込むなど、そういった狙いがあった。

 より長く楽しむために傷を付けたくない、丁重に迎え入れようとする、そんな狙いだ。



 だが、彼女たちは知らない。


「暴漢、暴徒か。なら、問題ないな」


 彼女らの眼の前にいたのは九条守仁。

 彼が常人ではない、戦人である事を。

 一般人に暴力を振るう事など無いが、悪党相手に容赦をしないなど、知る(よし)もなかった。



「『破軍』。

 おおぉぉーーーーっ!!」


 守仁に襲いかかったのは、複数。

 だから守仁は状況を改善するため、威圧を選択する。

 九条一闘流『破軍』。体内の気を練り上げ、咆哮の形で周囲に放った。

 そして敵の動きが止まった隙に駆け出す。守仁は女たちに囲まれないようにと、足を動かした。



 『破軍』の咆哮はただの大声ではない。

 聞いた者の脳を揺さぶり、数秒間の行動不能に追い込む戦技だ。

 正面からまともに聞いた者は腰を抜かしたように地面にへたり込んだ。


「何やってるのよ! 逃がすな、追え!!」

「気を引き締めなさい! あの方は並の殿方ではありません!」


 しかし残念ながら『破軍』の咆哮と言えど、全ての敵を行動不能にするほどのものではない。動きを止められるのはせいぜい二足の間合い。あとは多少怯ませる、驚かせるぐらいの効果しか見込めない。

 すぐに駆け出す守仁を追いかけ始めた。



「オトコぉ!」


 守仁は飛びかかる女の手を避け、顔面に拳を叩き込む。

 戦場(いくさば)に男女は有らず。鼻の骨が折れ血を流そうが、だからどうしたとばかりに容赦をしない。容赦をすれば危険だと、殴った拳の感触で確信する。


 この世界の女性は、古来戦うのが当たり前の存在であった。

 だから守仁はある種の安堵を得ていた。

 こいつら、殴っても大丈夫な奴らだと。



 多勢に無勢は負け戦。

 ならば味方を増やすか、敵を減らすか。


 守仁は敵を行動不能にして威嚇しつつ、日本の常識で考え、警察がいるだろう交番を目指し走るのだった。

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