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銀河戦記/脈動編  作者: 神崎理恵子
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第十章・漁夫の利 Ⅲ


 司令   =ヴィルマー・ケルヒェンシュタイナー大佐

 副官   =ゲーアノート・ノメンゼン中尉

 艦長   =ランドルフ・ハーゲン上級大尉

 電探手  =ナターリエ・グレルマン少尉

 通信士  =アンナ・ケンプフェル少尉


 数時間前に遡る。

 アルビオン共和国軍旗艦、ヴァッペン・フォン・ハンブルク(戦列艦)の艦橋。

 レーダー手のグレルマン少尉がイオリス軍に動きがあったことを報告する。

「旗艦を含む主力艦三隻がクラスノダールから離れていきます」

「主力艦三隻だと? 通信士、相手方からの通信の傍受は?」

 司令官のヴィルマー・ケルヒェンシュタイナー大佐が尋ね返す。

「傍受はできていません。システムが違うのと、秘匿暗号通信回線とかを使用されると傍受できないのです」

 通信士のアンナ・ケンプフェル少尉が答える。

「そうか……」

「これは好機ではないでしょうか? 主力艦が三隻も抜けたので、戦力的にはこちらの方が上回っています。相手の火力が高くても、数で押し切れます」

「なるほど、やってみる価値はあるな。微速前進だ!」

 ゆっくりとクラスノダールに向かって動き出す共和国軍艦隊。

「こちらが動き出したのを相手方も気づきました。交信を求めています」

「無視だ! このまま接近する」

「奴らは友好的です。こちらが攻撃開始するまで、撃ってこないでしょう」

「そうあって欲しいがな」

 接近を続ける艦隊。

「まもなく射程距離に入ります」

「相手に気取られなく戦闘配備だ!」

 さらに近づいて、

「射程距離に入りました」

「戦闘配備完了しています」

「よし! 全艦砲撃開始だ!」

 艦首の三連主砲が火を噴き始めた。

 戦列艦であるがために、舷側に配置された砲門は使用できない。

 全速前進して、相手艦隊の中央に切り込めれば、全砲門が使用できるので有利な態勢に入れるはずだ。

 しかし相手艦隊は、射程内ギリギリの線を保ちつつ、防御に徹して後退を続けていた。

「まるで戦いを避けているように見えますが……。惑星を放棄するつもりでしょうか?」

「せっかく手に入れた惑星なのにか?」

「ミュー族を追い出しただけで、まだ惑星自体には手を入れていないから、放棄しても痛みは少ないと考えたのでしょう」


 相手艦隊はさらに後退を続け、惑星の重力圏から離脱しつつあった。

 共和国艦隊は、惑星軌道に入ったところで静止した。

「敵艦隊離れていきます」

「無理追いする必要はない。この惑星を確保することが先決だ」

 撤退してゆく艦隊には目もくれず、惑星の周囲に留まることを選んだケルヒェンシュタイナーだった。

 惑星の衛星軌道に集結し、地上の様子を探査する艦隊。

「ミュー族の基地は破壊されたようです」

「撤退した後のようだから、基地を敵に渡さないように自爆させたんだろうな」

「ブービートラップだったんでしょうかね。どうやら引っかからなかったようですが」

「敵が態勢を整えて戻ってくるかもしれない。しばらく様子を見るとしよう」

 相手艦隊が撤退した方角に対して、いつでも発砲できるように砲口を向けて待機する共和国艦隊だった。

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