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銀河戦記/脈動編  作者: 神崎理恵子
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第八章・ミュータント族との接触 Ⅳ


 司令官  =ウォーレス・トゥイガー少佐

 副官   =ジェレミー・ジョンソン准尉

 言語学者 =クリスティン・ラザフォード

 医者   =ゼバスティアン・ハニッシュ

 生物学者 =コレット・ゴベール


 トゥイガー少佐がサラマンダーの医務室にやってきた時、言語学者のクリスティン・ラザフォードが診察室から丁度出てきた。

「どうだ、彼女に話せるか?」

 クリスティンに尋ねる少佐。

「不思議です。彼女が話す言葉は、地球圏東スラブ語族の言語に源流を持つようです」

「どういうことだ?」

「人類が言葉を発し始めた時は、一つの言語しかなかったものが、何千年と経つうちに色んな言語の派生が生まれてきました。それに伴って多種多様な民族に分かれました。インド・ヨーロッパ語族、シナ・チベット語族、アフロ・アジア語族、コンゴ・コルドファン語族などにです」

「我々の共通言語は、印欧語族に属するゲルマン語から発展した英語ですが、同じ英語でも銀河帝国、バーナード星系連邦、そしてトリスタニア共和国同盟、それぞれに微妙に変化してきています」

「まあ、同じ国内でも地方に行けば訛りがあったり、ご老人の話す言葉と若者の言葉も違っていてお互いまったく理解できないこともあるからな」

「一万年も経てば、意思疎通すらできない新たなる言語に進化します」

「一万年か……。ドクターも遺伝子変異がどうのこうのと言っていたな」

「彼女はかなり怯えています。もうしばらく一人にしておいて下さい。折を見て私が彼女のことや仲間のことを聞き出してみましょう」

「そうか……。分かった、彼女のことは君に一存する。随時報告してくれ」


「ドクター、一緒に来てくれないか」

 どやら医学的見地から、彼女の身体的特徴などを聞いてみようということのようだ。

 ミュータント族の彼女を残して、ドクターを連れて司令室に戻るトゥイガー少佐。

 そこには先客の生物学者コレット・ゴベールが来ていた。

「まあ、腰かけてくれ。茶を出してあげよう」

 応接椅子に腰かけるように言って、カウンターでお茶を入れ始める。

 椅子に座り、お茶を啜る三人。

「早速報告をしてくれ」

「先に結論を言いますと、彼女もイオリスの先住民も、我々と同じ地球人の血を受け継ぐ民族です」

 コレット師は、イオリスで亡くなっていた遺体を持ち帰って、遺伝子情報などを精密に調べていた。そして新たにミュータント族の遺伝子情報を得て、結論を導いたようだ。

 持論を発表するコレット。

「彼らと我々の祖先は同じだと思います。遺伝子進化の系統を詳しく調査しますと、彼らは我々よりおよそ一万年の経年変化を辿っているようです」

「一万年か……以前も言っていたが、どういうことだ? 納得できる説明をしてくれ」


「ランドール提督の乗られていた移民開拓船が行方不明になったまま」

「ああ、悲しい現実だな」

「こうは考えられませんか?」

「?」

「これは仮説ですが、ランドール提督らは、何らかの要因で一万年まえに飛ばされたと考えてみましょう」

「一万年前に飛ばされただと?」

「次元の狭間に飲み込まれたとかありえます。そうでないと忽然と消えた理由が分かりません。それに双方の遺伝子が似通っているのも納得できます」

 原始の海の中で、最も単純な単細胞生物に必要な酵素がすべて作られる確率は「がらくた置き場の上を竜巻が通過し、その中の物質からボーイング747が組み立てられる」のと同じで、十の四万累乗分の一の確率だと言われる(フレッド・ホイルのパンスペルミア仮説)

「つまり同じ血筋に連なる者同士が戦っているということか……」

「人間の性というが、アダムとイブ以来の原罪というか。親子でも殺し合いをするのが人類ですからね」

「そうか、何とかならないものかな……」

 押し黙る三人だった。

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