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銀河戦記/脈動編  作者: 神崎理恵子
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第七章・会戦 V



 艦隊に並走していた敵艦隊が急速後退を始めていた。

「敵艦、後方に下がります」

「敵は総攻撃を開始するつもりだ。反転して応戦する!」

 敵が後方に退いたのを見て回頭するミュータント艦隊。

 やはりというか、好機とばかりに速度を上げて逃走に入ることはなかった。

 回頭するため側面を見せた所を、敵の攻撃が襲い掛かる。

 激しく震動する艦内、立っていた乗員の多くが跳ね飛ばされて床に倒れてゆく。

「艦尾第一エンジン噴射口被弾! 戦闘速度七割低下します」

 艦長が報告する声は震えていた。

「ノルド=アードレル轟沈!」

「トヴョールドィイ航行不能です」

「イオアン=クレスチーテリ大破」

 次々と撃破されてゆくミュー族艦隊。

 やがて旗艦ペトロパブロフスク一隻だけとなった。

 敵艦隊は、ほとんど無傷のようであった。

 次第に包囲陣を敷いて退却路も塞がれてしまっていた。

「やはり火力に差があり過ぎるのか……。これまでの戦闘記録を連絡用通信カプセルで前進基地に送り届ける」

 強力な戦闘力を持つ未確認艦隊の性能諸元なりを、味方に伝えておくことは後に続く者に作戦プランを考案する糧となりうるからだ。

 発射口からカプセルミサイルが、前進基地へ向けて発射された。

「よし、これでいい。後は一隻でも多く敵艦に損害を与えるだけだ。敵艦に向かって全速前進! 体当たりだ!」

 ミュー族には、降伏という二文字はない。

 勝てないなら、相手を道連れにして自沈するというのが彼らのやり方なのだろう。

 戦列艦ペトロパブロフスクが、敵旗艦と思しき艦に急襲特攻を仕掛けた。

 しかし難なくスルリと交わされて、集中砲火を浴びるだけだった。

 エンジンブロックに被弾して、完全に航行不能となった。

「敵艦より交信電波が入電しています」

「敵が接舷して乗り込んでくる気配はないか?」

「ありません。まったく動きなし」

「自爆を警戒しているな……自爆するのを待っているのか? 悔しいが、お望み通りにしてやろう……が、その前に」

 と、カチューシャの方を見る。

 ミュー族にとって、遠隔透視能力を持つ人材は貴重である。

 艦に搭載されたレーダーの3倍から5倍の索敵レンジを持っているのだから。

「俺たちは最後まで戦うが、カチューシャには生き残ってもらう。脱出ポットで逃がす」

 ただ一人の脱出案に反対する乗員はいなかった。

 指令に従って素直に脱出ポットに乗り込むカチューシャ。

 数時間後、通信カプセルの後を追うように、脱出カプセルが発射された。

「さてと……。最後の仕事をやるとしよう」

 副官に目配せするミロネンコ司令官。

 自爆装置のスイッチに歩み寄るミロネンコと、もう一つのスイッチに手を掛けるモルグン副官。

 双方目配せしてからカウントダウンを始める。

「トゥリー、ドゥヴァー、アヂーン、ノーリ」

 二人同時にスイッチキーを回す。

 辺り一面が眩い光に包まれてゆく。


 戦列艦ペトロパブロフスクを含むミュータント族迎撃艦隊の全滅であった。

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